カテゴリー : メディア論

ラジオは消費税に耐えられるか(その2)

radikoプレミアム、ネット上では色々と議論されているようだが、肝心な局内外ではほとんど情報が発信されていない。
オーソライズされていることが少ないのだろう。
大体、私の出身の放送局(FM851)は、具体的な情報をほとんどサイトに掲載していない。
いわゆる様子見の放送局の一つ、TOKYOFMがど真ん中に「エリアフリー通信開始!」とニュースを上げているのに、その事実すら見当たらないのは情けない限りである。


さて、radikoを使ってどんなマーケティング戦略を打ち出すのか、大いに期待したいところだが、何か問題ありありのようで今後どうなるか見えてこないようだ。
具体的に数字(売上)となって、目にみえるようにならないと何もできないのがラジオ局の本音なのかもしれない。
代理店さん何とかしてください、なのだろうな、相変わらず。


さて、消費税が8%になって半月が過ぎた。
消費税導入による影響は軽微というプロパガンダもどきの情報がニュースサイトで流されているが、個人的にはどうもそんな気がしない。
4~6月はある程度落ち込むが、7~9月は元へ戻るという楽観論には少し考えさせられてしまう。
その根拠は何なのだろう。
確かに公共投資などを通じて国から資金がばらまかれ、それが各人の収入を増やし、少々の出費増は吸収できるというのだろうが、一体その各人の収入増はいつやってくるのだろう。
それが見えなければ、支出を安易に増やそうという気になるはずもない。
マインドセットとして、デフレ仕様になっている国民の気分を、どうやってインフレ仕様に変えることができのだろう。
デフレのマインドセットは強固である。
よほどの収入増がなければ、その壁は崩れない。
景気が上向いているという観測は企業側から出ているが、それが何故消費者側から現れない。
単純に還元されていないだけなのか、それとも企業の売上増はそのまま国外に流れて行ってしまっているのか。
消費が活発にならなければ、広告費も増えない。
広告費が増えなければ、その末端にあるラジオにも恩恵は行かない。
ざっと見るに、ラジオの業績、少しもよくなったようには思えないが、何か新しい芽生えのようなものがあるのだろうか。


私はタイトルに「ラジオは消費税に耐えられるか」と書いた。
消費税を払えないという意味ではない、消費税アップによって売上はさらに減るのではないかという危惧があるからだ。
広告主の立場に立てばわかりやすい。
例えば、ある商品の広告費に今まで10.5億使っていたとする。
これが4月から、10.8億円になるのだ。
例えば、会社の経営会議で、これから広告宣伝費は10.5億が10.8億になりますのでよろしくと宣伝担当役員は言えるだろうか。
自動的に3%弱予算が増えますなどと、しれっと言えるものだろうか。
考えても見よう、人件費のアップにちゃんと3%弱のアップ分を含んでいるだろうか。
5%から8%に上がることに文句が言えないものは、そのまま受け入れるだろうが、相手次第で何とでもなるものにはそのまま3%弱のアップ分を反映させるわけはないのだ。
大企業でさえ、今年の春闘の賃上げアップは定昇も含めて2%そこそこだと聞く。
つまり、給料のアップ分は8%の消費税に耐えられない、そう考えるのが普通だろう。
当然、実質的な消費減にならざるをえない、もちろん、持っている貯金を使え、老人がためこんでいる金を優遇制度を利用して、じゃんじゃん使えという考え方もあるだろうから一概には言えないが。


話がそれた、企業の広告費の話だ。
企業は、不必要な金を使うことに慎重、それが今の時代だ。
本当にバブル以前の、何かよくわからない金が、適当な名目で支出されていた時代とは違うのだ。
その時代に、ラジオに広告費を使う理由がどこにあるだろう。
3月まで支払っていた額を、消費税が8%になるからと言って、その分を増やしてラジオ局に払うなんてことを簡単に決めるだろうか。
何しろ、大企業となると、広告費をとりまとめるのは広告代理店だ。
必要なものには、当然消費税も含めてアップした額を支払うが、つきあいで出している広告とか、なりゆきで続いているラジオ番組とかに、さらに消費税をアップさせて支払ってくれたりするだろうか。
いい機会だ、3月で終了、なんて事例、どれほどラジオの世界にあったことだろう。


とにかくラジオにサプライズがなさすぎるのだ。
radikoをイノベーションの材料にする雰囲気はあまり感じられないし、V-Lowマルチメディア放送もその魅力を語ることができていない。
はるかに消費税8%のイメージが勝っている。
わざわざラジオに広告費を出そうとされているクライアントのために、ラジオは何ができるのか、それをもう一度認識しなおす必要があると思うのだが。

ラジオは消費税アップに耐えられるのか、気になって仕方がないことの一つだ。



ラジオは消費税に耐えられるか(その1)

ラジオ周辺、ほんの少し騒がしい。
まずはradikoのトラブル。
どうもradikoプレミアムのプログラムが杜撰だったため、トラブルが続出しているらしい。
radikoプレミアムに大きな問題点。ログイン台数制限とそれに付随するトラブル(一応解消?) 」と題されたブログに、詳しい情報が載っている。
radikoのサイトでは、一応不具合は解消されたとあるが、ブログ主は、多分力技で処理したのではないかと指摘している。
いわゆる小手先の処理(ログイン台数制限の部分をカット?)らしいが、せっかくのスタートに暗雲が漂い始めたようだ。


別のブログ「伊集院光が苦言『radiko.jpプレミアムは破格に高い』無告知でログイン台数制限など問題続出」では、『JUNK 伊集院光 深夜の馬鹿力』(TBSラジオ)で、radikoプレミアムの月額350円が破格に高いと指摘したそうだ。
これは、私もそう思う。
ラジオは無料なのに、金を取るのかと言っているわけではない。
価格設定が高すぎるのではないか、だいたい有料アプリで毎月課金するのなら100円ぐらいにしろよと思うからだ。
初期投資と運営費に金がかかるからという理由を出しているが、伊集院氏は「それなら初期投資分が回収されたら、値下げするのか」と皮肉ったそうだ。


大体、radiko側は、一体このサービスによって、どれだけのユーザーをつかもうとしたのか。
もちろん、事業計画にはその数は明記されているはず。
1万人を獲得したいなら350円×10000人×12ヶ月=年間4200万の売上と計算できる。
10万人なら4億2千万だ。
100万人なら42億、これぐらいのユーザーは条件次第で簡単に達成できる。
で、一体いくら必要だったのか。
350円の根拠は?
それほどradiko側は自信がなかったのかもしれない。
100万人も簡単に行かない、と。
価格とは、当たり前だが需要と供給の線が交わったところの額になるはず。
価格を上げれば、当然ながら需要は減る。
本当に全国のラジオを聞きたいというコアなユーザーしか、高価格ではつかめない。
ミュージックバードでも同じような議論はあった。
クラシックチャンネルでまず1万人のユーザーを集める、この層は少々高くても、他にない音源を高品質で流せば聴いてくれるはず、と。
その時のことから推測すると、350円という価格で考えているユーザ―数は、10万人ぐらいだろうか。
だとすれば、その設定は少なすぎると私は思う。
最低でも100万人ぐらいのプレミアム会員を集めなければ、ラジオの活性化もへったくれもあったものではない。
そのためには、ワンコイン、100円とか50円とか、別にこれぐらいいいかと思わせるような価格設定である必要はなかっただろうか。
それとも、いきなりそんな会員数をめざしたら、ラジオ業界から猛反発が来るということだったのかもしれない。
しかし、何度も言うが、これでラジオを活性化させる、イノベーションを起こすことを目指すなら、最低でも100万人のユーザーがいなければ話にならないだろう。
早い話、妥協の産物だったのかもしれない。
利害の調節抜きに見切り発車すれば、その後の処理が色々厄介になることは理解できる。


ラジオ周辺の騒がしい話その2。
新聞が再びネットを抜く(経産省広告売上推移:2014年3月発表分)というニュース記事。

経済産業省は2014年3月11日付で、「特定サービス産業動態統計調査」に関する2014年1月分の速報データ(確定値に先立ち公開される値)を、同省公式サイト内で公表した。その内容によると2014年1月の日本の広告業全体における売上高は前年同月比でプラス6.0%となり、増加傾向にあることが分かった。今件記事で精査対象となる業務種類5項目(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ・インターネット)中では「ラジオ」が唯一マイナスのマイナス0.3%を記録している。

記事は、広告の出稿が増えている、何と新聞への広告費が1月だけインターネット広告を抜いたというのが趣旨。
なかなか興味深いので、一度目を通してもらいたいが、もちろん私が言いたいのはラジオのこと。
他の媒体は皆プラスなのに、ラジオだけマイナス、何、どういうこと?という感じだ。


驚くことに、その前の月、2013年12月は-8.6%だったそうだ。
-0.3%は、まだ回復した方、ということらしい。
完全に取り残されたなあ、そんな感慨を持つ。
2月、3月は、多分消費税施行の前のかけこみ需要関連で、もうちょっとよくなっているかもしれないが、4月からはどうなるかわからない。
私の指摘したいのは、「ラジオは消費税に耐えられるか?」ということ。
何を言いたいか?
一言でいうと、消費税アップがラジオへの広告費をさらに減らすだろうということ。
その中味は?
今回少しradikoのことを長く書きすぎたので、詳しくは次回にとりあげることにしたい。
何か情報をお持ちの方、またお知らせいただければ幸甚。



有料サービス「radiko.jpプレミアム(エリアフリー聴取)」が2014年4月1日からスタート

さて、私がずっと叫んできたradikoの配信エリアを越えたサービスがスタートすることになった。
今までは第1フェーズ、4月からは第2フェーズがスタートするとリリースにあった。
気なる点はいくつもあるが、まずはその試みにおめでとうと言っておきたい。


気になる点は何かということだが、できれば国内という枠は何とかならなかったのかと思う。
世界にいる日本人に聞かせてあげればよいのにと思うが、著作権的な許可の問題があったのだろうか。
それと、サーバ代がかさむので、有料にしたということ。
金払ってまで、エリア外の放送を聴く人口をどれぐらい見積もったのだろう。
これも将来的に利益を分配するための資料にしようということなのだろうか。
とにかく、radikoは現実に何人その放送を聞いているか、的確にわかるはず。
金払って聞いている人も、多分何らかの設定をすればリアルタイムにわかるだろう。
本当は、そのあたりを取材して書いて欲しかった。
イノベーションに繋がるのは、その具体的な数字だからだ。


radikoがどこでも聞けるようになれば、本当のラジオの実力がもっと明らかになるはず。
そのあたり、広報資料は何も言っていないが、リアルタイムに聴取者数がわかるのだから、次にほしいのはその数字の発表である。
そんなの絶対に出さない、という放送局もあるだろう。
早い話、赤裸々な競争はしたくないということ、そのぬるま湯的な体質がテレビとの差だろう。
とにかく、ラジオ1.0の時代は終わりに近づきつつある。
これからは、ラジオ2.0の時代だ!それぐらいの強い意志を持って、第2フェーズとやらを語ってほしい。


競争激化はエキサイティングである。
実際にラジオ同士競争していたにもかかわらず、それはテレビのようにショウアップはされて来なかった。
レーティングの数字は挙がってきていても、どの局もさも自分のところが1位のように数字をアレンジしてきていた。
そんなアレンジした数字を出すのではなく、今後はradikoにアクセスしている数字をそのまま出せばいいのだ。
その数で競争すればいい、出せないようならとっとと舞台から退散して欲しい。
それぐらいの大胆さでもって、ラジオを続ける、ラジオが生き残るためには必要な志だと思うがどうだろうか。


ラジオに必要な事はイノベーションである。
情報を公開し、自由な議論の中から、新しいニーズを獲得した放送形態が生まれるはず。
数字をとれない、とりえのない番組は淘汰されるべきだし、数字をとれる番組で利益を確保しながら、たとえ大きな数字がとれなくても、ラジオとして伝えなくてはいけない情報の場を保証できるようにしないと未来はない。


今回のradiko.jpプレミアムが、そのまま第2フェーズを形づくるとは残念ながら今は思えない。
必要な事は、これをきっかけとした情報の開示、そして自由な外部からの参加を認めることだ。
自分たちだけで、ラジオの世界を回しているだけでは、限界は自ずと明らかだろう。
そう、これはただの最初の一歩だ。
問題は、そこから2歩目、3歩目が約束されているか。
一歩進んで二歩下がるの愚だけはおかしてほしくないものだ。