カテゴリー : 2011年 10月23日

私はいかにしてプロデューサーになったのか(第11回)

さて、久しぶりの「私はいかにしてプロデューサーになったのか」、その11回目です。
技術の管理職M氏と打ち合わせた結果、当日は中継ラインは引かず、PCM収録して、そのテープをバイク便でスタジオまでデリバリーしてもらうことになりました
PCM収録、当時は最先端の技術で、この収録機材を持っているのは関西ではFM大阪だけではなかったでしょうか。
どうしてか?
他の局は必要とされなかったからです。
第一、どうやって使ったらいいのかわからなかったというのが、当時のラジオマンの本音だったかもしれません。


■PCMとは

PCMとはPulse Code Modulationの略、直訳するとパルス符号変調ですかね。
音声を搬送波という電波にのっける方法には、それまでAM(Amplitude Modulation)とFM(Frequency Modulation)がありました。
それぞれ、振幅変調、周波数変調と訳されます。
ま、早い話、中波を使ったAM放送と超短波を使ったFM放送で、これらはご承知の通りアナログ放送ということになります。
アナログ全盛の時代が過ぎ、いよいよデジタルの時代がやってこようとしていました。
そこで考え出された変調の方式の1つがPCMなのです。
後に、私が立ち上げに参画するCS-PCM放送(衛星放送)も、この方式でした。
詳しい説明はネットでお調べいただくことにして、ここではそういう技術が実用化され始めていたということをご了解いただければと思います。

■使われなかった機材

FM大阪が何故PCM機材を買ったのか、当時本社にいなかった私はよく知りません。
しかし、新しくできたスタジオには、でかい収録用のデッキが置かれ、またライブの収録用のデッキ2台も倉庫に眠っているということでした。
一言でいうと、アナログの収録機材とは設計思想が違うというか、むしろビデオの収録機材に似ていたため、ラジオの現場では扱いにくかったのだと思います。
原音に忠実に音を再現できますが、現場にはそこまで需要がなく、ほとんど使われないままだったということでした。
何千万もする機材だったのにね。

■オールナイトライブの目玉はPCM!?

で、技術のM氏は、初めてのPCM番組としてアピールできるで!と私に言いました。
でも、私は冷ややかでした。
音源はロック、しかもライブ会場の音なので、原音を忠実に再生しようというニーズがありません。
むしろ、もやもやした音の方が、粗が目立たなくっていいという気もしたくらいです。
とはいえ、使ってもらえれば嬉しいというのがM氏の本音だろうと思い、既に番組の制作費は確保されていて、その範囲内なら機材は何だってかまわないわけで、「やりたかったら、どうぞ~」という感じだったですね。


さて、PCM収録することが決まり、そのための技術スタッフもM氏と相談しながら決めました。
1台あたり100kgぐらいありましたから、それを2台現場に搬入するのは大変だったろうと思いますが、当日はあまり問題もなく作業は進みました。
本当、その時の苦労はどうなったのだろうと、関係者に今度聞いてみたいくらいです。
長くなるので、この続きはまた次回。