カテゴリー : 2011年 12月

アイドル論~アイドルは儲かるか

アイドルビジネスは音楽業界衰退とともに、効率のいい商売ではなくなっているというような話をしてきた。
アイドルが今まで儲かってきたとするならば、それは音楽業界で潤沢にお金が還流していたということにつきるだろう。
アイドルを擁する事務所、特に歌手の場合、そのお金は契約したレコード会社から契約金・育成金と言う形で前払い金が入ってきていたというのがある。
契約金1億、月間育成金1000万という条件でレコード会社と契約すれば、事務所はとりあえず回る。
アイドルは、その代わり年間3~4枚の新曲を発売、それを毎回30万枚ほど売れば大合格になる。(アイドルは年間を通じて、休むまもなくテレビや取材に追われ、とても人間の生活とは呼べない状況になるが)
レコード会社は、アイドルが年間100万枚シングルを売ってくれれば、10億ぐらい金が入ってくる。
育成金ぐらい安いものである。
他にもシングルを集めたアルバムも売れるし、新しいアイドル発掘にも金を回せる。
とにかく、アイドルをめぐってお金は見事に還流していたのである。
今は、なかなかこうは行かない。
契約金はゼロということはないだろうが、今や往年の影はなかろう。
育成金なんか果たして出ているだろうか。
事務所はもちろん困るが、その代わり曲の原盤権(及び出版権)を事務所側でキープしているというのが一般的ではないだろうか。
しかし、アイドルをデビューさせる時に前払いされるわけではないので、事務所側もある程度の金を用意しておかなければならない。
しかも、売れなければ、これらの金はすべて消えてしまう。
早い話、とてもリスキーなビジネス、それがアイドルビジネスということになる。
今でこそ、AKBは、一体どれだけ儲けているんだという話が出ているが、2年前までAKBがどれだけ金食い虫であり、それをプロデュースした秋元康さんにどれだけの冷たい批判があったか。
芸能界は水もの、AKBがあたったのも、ある意味結果論。
お金をあれだけ突っ込めば、誰がやってもあれだけ売れるだろうというのは、大きな間違いである。
薄氷を踏むような勝利だった、それが私の知る結論である。
とにかく、狙うところがでかすぎたということも、一つの要因としてあったろう。
しかも、かつてのように音楽業界に金が潤沢に回り、少々損をしても、何かで簡単に埋まっていた時代ではなくなったのだ。
モモコクラブなんか、大失敗の一つだったし、後期イカ天のバンドなんか、投資した金は回収もされず、ブームは消え去ってしまった。
とにかく、今の音楽業界には一時期のような金は存在しない。
にもかかわらず、新しい方法論を生み出す知恵も集まらず、アイドルビジネスも試行錯誤の連続という状況。
幸い、AKB的ビジネスは何とか目処が立った。
後は、今回のノーハウをどう次に生かしていくかにかかっている。
ま、そんな話を次回にでも。



アイドル論~AKBとGoogle+

AKBがGoogle+と提携というニュースが流れた。
以下はサンスポのネット記事からの引用。

人気アイドルグループ、AKB48とファンが情報共有機能「Google+」(グーグルプラス)を使ってコミュニケーションできるサービスが8日、始まった。同日会見した前田敦子らメンバーは「リアルタイムで書いて、ファンの皆さんと近くなりたい」と新サービスへの期待を語った。

 新サービスはAKB48とグーグルが行う。AKB48と姉妹グループのメンバーが、Google+のページを通じて最新情報を発信する。

 さらに10人同時に参加できるビデオ機能を使い、メンバー本人とファン9人がチャットできるほか、コンサートのライブ配信も行う。



SNSといえば、今やツイッターにfacebookだが、Googleはそれを越えるユーザーを取り込もうというのだろう。
とりあえず、日本ではAKBと組む。
提携の報酬はいくらかは知らないが、増えたユーザー×100円かもしれないし、ユーザーのアクセス回数×10円かもしれない。(1ドルの可能性もありますね。)
契約金いくらというのは、双方リスキーな感じもする。

そういうことで、昨日も書いたがAKBビジネスというのは、過去のアイドルノーハウにはあまり依拠していないのがわかる。
誰か一人に人気が集中するという事態をうまく避けている。
そして、人気を常に流動化させ、新しいアイドルが生まれやすくしている。
広く薄くアイドルファンを集める、アイドルオタもそういう形でうまくとりこめている。
アイドルを擁する事務所はそれゆえ大変だ。
いつ、プロジェクトから捨てられるかもわからないし、またどれだけ自分のアイドルに投資していいのかわからない。
かつては女性アイドルは思い切り囲い込み、外部との接触を不可能にすることもできたが、今はそんな費用をかければ自分の首をしばりかねない。
しかし、儲けるためには、いかに自分のアイドルを差別化し、次のステージ、つまり独立して商品化できるようにしなければ未来はない。
事務所の社長なら悩むところ、しかも、勝手な動きをすればたちどころに放逐されることも覚悟しないといけない。
かといって、プロジェクトと心中する気分でいたら、ブームなんてあっというまに終わってしまう可能性もないではないのだ。
誰が、AKBのアイドル一人一人のリスクを引き受けてくれる?
正直、おにゃんこクラブほど仕事の内容は楽ではない。
モーニング娘。ほど、メンバー一人一人を大事にしてはくれない。
代わりは全国から次々に生まれ、嫌ならやめたらみたいな風も吹くかもしれない。
ほんと、大変だろうな、事務所もアイドル達も。


Googleからすると、AKBと提携したところで、ユーザーは100万程度しか増えない。
1000万単位のユーザーが生まれなければ、SNS業界をリードできないのは誰でもわかることだ。
AKBの篠田麻里子ちゃんで、ツイッターのフォロワー数やっと80万弱だ。
SNS側からすれば、これも一つの話題作りにすぎない、Google+に注意を向けさせることができればそれでいいのだ。
華やかに見えて、その背景にあるのはただの書き割りにすぎない。
アイドルビジネス、過渡期といえど、当人たちには毎日が真剣勝負。
あんまり無理しないで、大人たちの思惑に振り回されないようにと、祈らずにはいられない。




アイドル論を語る前に

アイドル論を語るのは、なかなか難しい。
どういう視点で書くかで、結果が違うからだ。
今の現状を善しとして書くか、否定的に書くかで中味が違ってくる。
また否定的に書けば、今アイドルビジネスで生活を維持している人まで影響が出かねない。
ま、世の中というのはそういうもので、いくらこちらが正しいと思っても、それで生きている人の気持ちを考えると一概に断定するのも気が引ける。


例えば、東京電力の現状もそうだ。
原発なんか、もう諦めろと言えば、それで生活が一変する人も生まれる。
何しろ原発を前提に生きていた人たちは大勢いるのだ。
原発を否定すれば、関係ない人たちはそれでいい。
しかし、今はそれがなければ生きていけない人たちはどうしたらいいのか。
どちらにも、いい顔ができるはずもない。
世の中、なるようにしかならない、すべて時が解決する、こざかしい理屈を並べるなかれ。

ということで、アイドル論の話から、えらいところへ論が飛んでしまった。
話を戻すが、今アイドルで食べている人たちでどれぐらいいると思うだろう。
先日、モーニング娘。を中核にしたハロプロ系を擁するアップフロントエージェンシーは大変だろうと書いた。
AKBにアイドルマーケットが大きくシフトした、その影響が出ないはずはない。
一番いい時に、事務所を拡張し、スタッフも多く抱え込んだ。
それ以上に、アイドルの絶対数が拡大し、それを維持するのは簡単ではない。
ハロプロ的ビジネスモデルは、これ以上持たないとだれもが思うはずだ。
もちろん、規模を縮小し、商売になる部分だけを残して、それ以外をリストラすれば何とかなるはずだが、それによってハロプロブランドのイメージが毀損される可能性も強いのだ。

アイドルはブランドビジネスだというのが、私の考え。
いかに旬のブランドとして世に流通させるか、人々の移り気な嗜好に左右されるマーケットなのだから、そういう大衆のニーズに鈍感であっては、アイドルビジネスは続けられない。
アップフロントの名前を出したが、さかのぼれば、SPEEDや安室奈美恵を擁したライジングプロ(現ヴィジョンファクトリー)も、かつてのような賑わいはないし、小室哲哉さんのプロジェクトにしても、長戸大幸さんのビーイングにしても、浜崎あゆみのAVEXにしても、この音楽業界の衰退の中では、一時期の投資がすべて無になりかねない状況にもなっている。

AKB的なアーチストの売れ方は過去のアイドルビジネスとは微妙に違う。
それゆえ、過去のノーハウがなかなか機能しない。
しかも後ろを見ればK-POP。
腹背に敵、それが業界既得権者の現状だろうと私は思う。
もっと遡れば、今、またまた話題になっている松田聖子さん、山口百恵さん。
片やサンミュージック、片やホリプロ。
これに渡辺プロや芸映、研音など、アイドル業界を引っ張り、音楽ビジネスモデルを作ってきたプロダクションは、必ずしも今の時代についてこれているとは言えないのではないだろうか。
ネットに音源をアップされ、それを次々につぶしていく。
法的には確かにそうだし、権利を守ることはもちろん重要だ。
だがそれだけでいいのか?
K-POPは、一円も金を使わないで、日本の音楽市場にアピールできた、その教訓を生かすつもりはないのだろうか。

とはいえ、こういう事業者側の話をくだくだと書くことはあまり好きではない。
今回、とりあえず、私の考えを序章的に書いてみた。
皆さんのコメントに今後期待して行きたい。