カテゴリー : 2012年 1月23日

FM局盛衰記・3

さて、私の古巣のFM局、早い話FM大阪の現状の話である。
最盛期と比べ、売上半減、社員数も半減。
大きくなったのは、中之島から湊町に移ったことによる会社のスペースぐらい。
それでも、大幅な経費のカットが要求されたときに、ばかでかいサテライトスタジオを廃止、2フロア借りていた分のうち、1フロアを返上、地下の倉庫及び駐車スペースの閉鎖など、移転した時の規模から比べると半分近くになってしまった。(それでも中之島時代より大きいが)
存在感も半分になったし、対外的にも会社の経理状態が相当悪いという印象を与えることになった。(ま、実際悪かったのだろう。)
目に見えるものは、圧倒的に説得力を持つものだ。
同じように大赤字になって意外感をもたらしたFM802、事務所は南森町にそのまま残り、あまつさえFMcocoloを吸収しようというのだから、誰も802がやばいなんて思わないだろう。
中は例え火の車であっても、それを対外的に見せない、それこそが経営者の矜持であり、イメージ戦略を考えるにあたって重要なことだ。


とにかくFMOは自社のイメージを傷つけることに無頓着でありすぎたのだと思う。
そんなことをすれば、例えば社外のものはどう思うか、制作会社の人がどう思うか、そこにもっとセンシティブであるべきだったろう。
ブランドイメージの毀損、この何年かのFMOに顕著に表れていたことである。
あそこからは、もはや最先端の情報発信はありえない、ただのラジオ、ただの二流メディアというイメージとでもいおうか。


それがFMO以上に現れたのが、神戸のKiss-FMだ。
内部の混乱がすべて露見し、訴訟合戦まで始まった。
一時期は、支払いも相当滞り、放送局の態をなしていないとまで言われた。
イメージもブランドも、ボロボロである。
情報発信の核になるなど、誰も信じなくなったし、今後もそう簡単に失地回復することはないだろう。


かつて私はブランドの3要素として「均等性・均質性・価値の維持」というのをあげたことがある。
どこへ行っても、そのブランドに対応する商品が提供できること・・均等性
商品自体がどういう状況であってもブランドの質が保たれること・・均質性
そのブランドの価値は、時間が流れても維持されること。
それを前提にして、こういうことを書いたことがある。

ラジオ(番組)を売るというのは、局のブランドを売るということなのだと私は思う。
ブランド・イメージを売るということだ。
売れないのは、結局ブランド作りに失敗しているということに他ならない。
効果だけを前面に出しても、ラジオは売れない。
それ以上の効果を得られるメディアは他にもあるからだ。
J-WAVEを見ていると、全く問題はないわけではないが、辛うじてブランド・イメージを維持することに成功している。
大阪のFM802なども、まあまあブランド・イメージを維持しているほうだろう。
売上がどんどん落ち、何とか前年度を維持しようとして編成がガタガタになっているラジオ局には、もはやブランド・イメージを云々できる余裕はないようだ。
本当は、武士は食わねど高楊枝で、やせ我慢でもブランド・イメージを守りたいところだが、そこまで気骨のある放送局は少ないだろう。
ただ、レギュラーでスポンサーについてもらおうと思えば、まずブランドありきでないと辛いだろうと私は思う。
毀損されたブランドの価値は、驚くほど下がる。
聞いている人がいるとかいないとかいう問題ではない。

とにかくブランドを維持できない局には未来はない。
それを支える人員(社員)が減れば、すなわちブレーンの能力が落ちればブランドを維持することはおぼつかない。
当たり前の話なのに、それを実行しない(できない)ラジオ局。
次回もそのあたりを引き続き。



これは、私が信頼しているマーケティングの大家、阪本啓一さんの本です。ブランディングの原則がよくわかります。