カテゴリー : 2012年 2月

シリーズ 広告代理店・7

体験談から広告代理店にアプローチするシリーズ、引き続き書いていきます。
広告代理店の局担当者、情報収集にしょっちゅう放送局に顔を出すと前回お伝えしましたが、じゃあ、スポットの発注とかタイムの話とかはいつするの?という疑問が出てきますね。
発注、実はほとんど電話で行われます。
発注というのは、代理店の営業さんからまとめて媒体部に降りてきます。
それを受けて媒体担当は、それを各局に一斉に伝達するので、勢いその手段は電話ということになります。
ファックスで一斉送信というのもあったでしょうし、最近ではメールという手段もあります。
ただ、そのメッセージが媒体に本当に届いているかを確認するまでに、ファックスやメールでは時間がかかる可能性もあるので、電話するのが一番早いのではないかと思います。
条件なども細かく伝えることもできますし。
ま、放送局の営業からすると、この発注を受けるの、本当に気分がいいものです。
最終的に決定するかどうかはわからなくても、確率の高い宝くじを買ったような気分といいますか。
さっそく、スポット案を提出(たいてい、自分で代理店まで届けます。発注関連の話も聞きたいし。)し、後はわくわくしながら待つという感じですか。


でも、発注した方、意外と冷たいというか、提出したプランが決定したのかどうか余り教えてくれません。
催促するのも何なのでしばらくほっておくと、いきなりCM素材が搬入され、CMデスクから、「おい、この素材、どの分?決定なら放送表を書いてよ。」と言われることもよくありました。
で、やはり電話で担当の方に「あのプラン、決定でいいの?」と尋ねると、「あ、伝えてなかった?決定、決定、当たり前じゃん。」などと返事が来ます。
何が当たり前なんですかね。


ま、それぐらい、広告代理店の媒体担当の方はお忙しいのでしょう。
売上もグロスが決定すれば、媒体担当としても万々歳なのでしょうね、各局のことなど忘れてしまうぐらい。
そういえば、結局こちらの案が通らなかった時、つまり採用されなかった時もあんまり連絡はなかったですね。
決定通知がなければ落ちたと思え、みたいな慣習もあったような。
そんなに知りたければ、そちらから聞きに来い、ま、あんまり聞かれたくないけどね、残念でしたというだけだし・・・。


タイム提供やイベント関係はもう少し複雑です。
たいていは、クライアントに対し、広告代理店が大まかなプランをプロモートし、それが感触が良いなるとラジオ局側に連絡が入ります。
こんな感じで、ラジオ局側のプランを書いてくれる、できれば採用されないようなダミー案を2つぐらいつけて。
普通の営業マンなら、ここで編成や事業担当に相談するわけですが、ラジオ局の現場からはなかなかプランは降りてきません。
ましてや、ダミー案をうれしそうに書いてくる現場の人間は稀有です。
ダミー案?面白い慣行ですね。
本命案を通すために、それよりどう見ても質が落ちる案(かといって箸にも棒にもかからないのはダメ)を2つほど出し、その3つの案からクライアントにどれがいいかを決めてもらうのです。
これがいいので、これにしなさい、なんてのはクライアントの心象を悪くするので、あくまで選ぶのは貴方、みたいなやり方ですね。


でも、時々、このダミー案がクライアントのお眼鏡にかなったりして、ラジオ局側は、うわあ、えらいこっちゃ~、本当にこれできるの~、なんてあたふたすることも珍しくはありませんでした。
おい、代理店、それぐらい説得できなかったのかよ~と怨嗟の声を発しながら、ラジオ局の現場に、ごめん、これやって、申し訳ない、と頭を下げることになるわけです。
ま、代理店なんか、こういう時は無責任なもの。
ダミーだろうと、提出した以上はやってもらう、そんなの当たり前じゃん。


ということで、そういうこともあったので、私はあまりタイムの発注があっても、編成や事業に振らず、勝手に自分でプランを書いて出していました。
そりゃ、先輩諸氏から生意気だと言って編成部から排斥されたとはいえ、制作の現場に5年もいれば、企画書を書くのは全く苦痛ではありません。
いや、営業しているより、そっちの方がずっと楽しい。
で、私自体は、プランをなかなか出してこない制作現場に悩まされることはありませんでしたね、幸運なことに。


このあたりの話、ラジオ局におられた方からは大いに共感を得られることだと思います。
でも、今はどうなのでしょうね、そんなプランの要望、広告代理店から来なくなっているかもしれません。
ラジオの企画なんか、勝手に考えて、プレゼンしたかったらどうぞご自由に、という感じなのでは。
ラジオ媒体、もはやクライアントから期待の目で見られる時代ではなくなったのは否定できないようですね。
ということで、今日はこんなところで。
次回もお楽しみに。



シリーズ 広告代理店・6

シリーズ広告代理店、あまり本質論からアプローチするのでなく、私の体験論、かっこよく言えば個人的辺境からアプローチするという形で進めていきたいと思います。
広告代理店がラジオに前ほど興味を持たなくなったのではという観点からも言及すべき気もするのですが、それはしばらくお待ちいただきたい・・・などと。
では、私の経験談義、始めたいと思います。


ラジオの制作現場では、広告代理店を意識する場面はあまりありません。
ワイド番組となると、基本的にPT番組(スポットCM中心の番組。コーナーでタイム提供はあるが、番組内容を広告代理店にしばられることはあまりない。)なので、広告代理店の方が顔を出すということはほとんどないといっていいでしょう。
タイム提供番組も、クライアントの方が顔を出される時には代理店の方が来られたりしますが、私が担当していたシャープの番組(前に書いた山本コータローさんのアイドル番組)では毎回宣伝担当の方は来られていましたが、代理店の方はほとんどお見えにはなりませんでした。
それだけ現場を信頼しておられたのかもしれませんが、たまには来いよと思わないでもなかったですね。


広告代理店の方、じゃあ放送局にあまり来られないかというと、最近は知りませんが、かつてはしょっちゅう営業部にはお越しになられました。
媒体担当という立場の代理店の方です。
大きな代理店にはラジオ部やラジオ局が存在し、大阪でも実際にラジオのみを担当されている方も4~5人ぐらいおられました。
それだけラジオの売上があったということでしょう。
私が営業していた頃と比べて今や売上半分という状態、確かに専門に人を張り付けられる利益は出なくなっているでしょうね。


で、これらの局担当の代理店の方は何をしに来られるのでしょうか。
簡単に言えば、情報収集でしょう。
今、どんなことが話題なのか、次にどんな企画を考えているのか、特に局の上層部、営業部長とか営業担当役員の動きなどをウォッチしているという感じでした。
よその代理店がどんな動きをしているのかも、ついでに観察されたりしていたようです。
逆に、たまたま担当のものがいなかったりすると私が代わりにお相手をしました。
私の担当ではない代理店の情報も知っておきたかったし、同僚の営業マンが何をしているのかも知りたかったからです。


他局のどこそこがこんなことするんですね、面白いなあと思っているんですが、確か、扱いはおたくですよね~?
こんど、こんなことするんですよ、あるアーチストが。
で、そのスポンサーがどうたらこうたら、事務所はこう言ってましたから、そのうち展開が始まるんじゃないですか、と制作時代に培った人脈を通じて得た情報を提供したりします。
多分、こういう音楽を中心とした第一次情報を提供できるのは私だけでしたから、相手は重宝してくれたと思います。
で、その代わりに、そちらの情報を提供してもらう、ま、そういうわけで情報を持っている量は同僚とくらべ多かったはずですし、それが又おいおいお話ししますが、売上の実績に繋がっていったことは確かだったと思います。


今でも、情報を集めると言うことに関しては、そこそこいい線行っていると思いますよ。
仕事ができない人というか、まわりの人に振り回されている人は、ほとんど情報収集が下手な人が多いですね。
私、ネットの利用度においては、同年代の中では相当高いと思いますが、これは元々情報収集にどん欲であったことの延長だと思います。
情報収集の基本は第一次情報にいかに接近するかです。
第二次情報、第三次情報は、それと知って参考にするべきで、情報を一元的に扱う人はたいてい誤った情報に振り回されるのです。
ネットは、そうですね、基本的に正確ではない、書いた人のバイアスが大きくかかっていると考えるべきでしょう。
大事なのは、その情報にどういうバイアスがかかっているかを、あらかじめ頭の中に入れて接するべきです。
こういうの、本当はジャーナリストも、また営業マンも、基礎訓練をしておかないといけない部分だと思うのですが、何か出来ている人減りましたね。
ネット・リテラシーなんて大層な言い方をしていますが、仕事をする者にはあたりまえのことです。
ネットがあろうとなかろうと、訓練しておかないといけない重要な部分、ま、如何に人々がおろそかにしてきたかが分かる状況ですね。


さて、広告代理店の話から少しそれました。
気をとりなおして、続きは次回に。



シリーズ 広告代理店・5

さて、シリーズ広告代理店、今日からしばらくはラジオと広告代理店。
早い話、私の見聞録を中心に書き留めていくつもりです。
高尚な話を期待していた方には、結果的にベタな話ばかりになったとしたら恐縮です。
ま、そういうことで、代理店との出会い話から。


大学時代は広告代理店と言う存在を知らなかった、電通も博報堂も何か聞いたことがある気はするのだが、それが何か全く知識なし。
大広や万年社となると、何のことやさっぱりわからないという状況でした。
それが、何の因果か大阪のFM局に入社。
DJという形式はもちろん知っていたので、入社したらやはりDJの仕事をやるのかなと漠然と思っていました。
放送局の営業というものには、全く意識が行かず。
入社してしばらくは、何だこいつ、何も知らん奴だと顰蹙を買ってばかりおりました。(というか、生意気な奴、先輩を先輩とも思わない奴というイメージで受け止められていました。つまり、ダメ社員だったわけです。)


さて、そういう中で、少しずつ放送局という組織を知ることになります。
放送局といえど、放送部門の人間ばかりではない、総務もあれば営業もある、また放送部門にも編成やレコ―ド室などの資料部門、送信を円滑に行う技術部門があることを教えてもらいます。(そんなことも知らんで、放送局に入ったのかと怒られそうですが)
で、ここで営業関連として、広告代理店の存在を習います。
実際に毎日広告代理店の方がお越しになりますから、いやでも知ることになるわけです。


そして、私が30歳の時、よく名前が出てきて恐縮ですが、朝日新聞出身の白木龍雄専務(当時)のお達しにより、制作部のディレクターから情け容赦なく営業外勤への異動辞令がおります。
増長した若造の鼻をへし折るのが狙いなどと陰でいわれつつ、ある日から毎日外へ、タイムやスポット、イベントなどを売りに出ることになったわけです。
当時の営業部長から、会議室に呼ばれ、しばらく営業に関する講義を受けました。
「ええか、放送局は営業が番組やスポットを毎日金に換えているんや。最初は君が稼がんでも、他のものが何とかしてくれる。そやけど、いつまでたっても稼がれへんかったら、君はいらん。金を稼ぐことがどれだけ大変か、今までディレクターで金をただ使っていただけのものにはわからんやろうけど、それだけはきっちり性根に叩きこんどくことや。」
別に金をかせぐことがどれだけ大変か、言われなくても商人の息子の私は熟知しているつもりでしたが。
(素直じゃないですね、わざわざこんなこと書く私は。)


で、ここから広告代理店の講義。
放送局の取引は、原則的に代理店を通して行う。
クライアントがよほど懇意で、相手さんが代理店を通したくないという場合は、直扱いになるが、これは例外だと思っていい。
代理店を通す理由は、売掛金の回収を確実にするためだ。
つまり、クライアントから直接もらうのではなく、代理店からいただく。
回収は請求書を起こした次の月に現金で代理店からもらうので、とりっぱくれがない。
その代わり、代理店には15~20%のマージンを払う、それが代理店の利益ということになる。
君があるクライアントさんを直接取ってきた時も、とにかく代理店を立てるようにするのが原則。
そのために、日頃から多くの代理店さんとも付合い、いざという時協力してくれる代理店をいくつも持っていることが大事だ。


最初は色々一般論を教わったが、実際に仕事をしてみないとよくわからなかったのは事実です。
ただ、広告代理店がクライアントの窓口だという印象を強く持ちました。
クライアントは常に広告代理店の向こうにいる。
直接クライアントに行くのはかまわないが、向こうには常に広告代理店がちょっとしたバリアみたいになっているから気をつけろみたいな。


直扱いに関しては、実際には私が元々音楽番組のディレクター上がりということもあり、例外とはいえ意外と多かったのが事実です。
いわゆる呼び屋さんという、洋楽アーチストのライブ専門のイベンターさんは皆さん直扱いでした。
私の担当していたイベンターさんも7~8社ありましが、FM局に主催名義を依頼されるのが常で、その名義料というのは基本的に直扱い。(名義料の窓口は事業部で、私は基本的に絡まない)
ということで、イベンターの口座が経理の方で作られているので、番組のタイム販売分もスポットの販売分もすべて直扱いということになったようです。
イベンターさん、意外といいますか、資金ショートして倒産することも珍しいことではありませんでした。
何しろ、イベントは現金商売。
不入りのイベントが続けば、支払う現金がなくなり、ある日会社ごとドロンなんてことも。
直扱いですから、もはや売上の回収は不可能です。


FM局にとっては、呼び屋さんは仲間という意識がありましたから、そういうことには寛容だった気もしますね。
代理店さんを入れなければ、マージン分安いはずという感じでしょうか。
確かに、彼らのスポット単価は概ね安く設定されていました。
でも、呼び屋さんのいいところは、出稿がギリギリでも来ることですね。
つまり、売れ残っているスポット枠を、大量に買ってくれたりするのです。
チケットがまだそこそこ残っている、できれば完売させたい、明日と明後日20本スポットを集中的に打ちたいのでよろしく、という風に。
こちらもスポット案を作って、すぐに届ける。
はい、これでOKです、じゃ、よろしく。
広告代理店さんで同じようなこと、ま、あまりないのではと思いますが。


さて、何か枝葉末節みたいな話が続くかもしれませんが、次回からもお付き合いください。