カテゴリー : 2012年 3月

シリーズ 広告代理店・18~小林克也氏との出会い(3)

ネスカフェ提供「ロンドン・ミュージック・ライナー」の話をとりとめもなく書いてきました。
広告代理店シリーズで、この番組をとりあげたのは、外資系広告代理店と日本の代理店の微妙な違いがあったことを指摘したかったからですが、最近では、日本の代理店も外資系に近くなった感じがします。
とにかく、広告業界に疎かった私は、代理店の方々が話している内容がまるでわからず、かといってわからないとも言えないで、適当に話を合わしていた記憶があります。
しかも、毎回打合せ場所は東京。
東京への不案内さと、業界の摩訶不思議さが、私をより混乱させたのだと思います。
今から思えば、本当にかわいいものでした。


代理店も刺激的でしたが、出演の小林克也さんも私にはエキサイティングでした。
番組収録は基本的に大阪のスタジオでしたから、隔週で大阪まで泊りがけで来られ、毎回2本録りしておりました。
別に日帰りされてもかまわないのですが、大阪の夜の世界に興味をお持ちだったのか、いつもFM大阪の前にあったフェスティバルホールと同じビルにあるグランドホテルに泊られるのです。
で、番組収録後、私がいつも大阪の夜を案内。
小林克也さんから、本当に面白い話をたくさん聞かせていただき、いい経験をさせてもらったと感謝しています。
ああ、こういう話の持って行き方もあるのか、音楽へのこういう言葉のかぶせ方もあるのかと、ディレクターの勉強には本当になりました。
アメリカのDJスタイルをうまく日本風にアレンジして、洗練された小林克也スタイルを作っている、かっこいいなと毎回驚かされたものです。


さて、代理店シリーズ、とりあえず今回で終了とさせていただくのですが、私は今まで多くの代理店の方とおつきあいさせていただいています。
皆さん、本当にいい方ばかり、というわけにはいかず、やはり不誠実というか、頭に来る人も2割程度はおられました。
いわゆる代理店の悪しき見本というか、クライアント以外の人間を人と見てないような代理店マンです。
いや、クライアントすら人間として見ていない、言うなら札束としか見ていなかったのではないかと。
人間としてはろくでもない奴らです。
そして、そういう連中が代理店の中で、変に売上を上げて発言力を持ったりするから性質が悪いというか。
人をだますことなんて何とも思っていない、金になればそれでいい、邪魔する奴は罵倒されたりします。
私も何度か、カチンとくるような言葉を投げつけられました。
彼らからすれば放送局の人間なんか、金で何とでもなる卑しい奴と思われていたのかもしれません。
ホイチョイプロダクションが作った漫画「気まぐれコンセプト」に出てきていた広告代理店の人間は、やることは無茶苦茶ですが、どこか憎めないキャラクターでしたが、実際の代理店マンはあんな可愛げは感じられなかったですね。
おまえ、絶対考え違いしている!と断定したくなる奴、今度酔っぱらったついでに、頭を5,6発なぐらないと気が済まないという奴、そんな代理店マンの顔が今も私の頭によぎります。
そうです、正直言って、私は広告代理店の人間は苦手です。
友人にも代理店マンは10人ぐらいいますが、心から信じられる奴はいない。
特に金の話になると、彼らはどこか不正直です。
利益を隠そう隠そうとして、話の中に微妙に誇張や嘘を交えているような気がして仕方がありません。
多分、そういう風に育ってしまったんでしょうね。


さて、広告代理店シリーズ、最後もはなはだ曖昧な内容になってしまいました。
でも、これはこれで、代理店の一面を語れたのではないかと思っています。
あんまり的確な話にはならなかったかもしれませんが、とりあえず今回はこのあたりで。
次回からは、さて、何を話題にしましょうか。
皆さんからも何か希望がありましたから、コメントなどいただければ幸いです。
よろしくお願いします。



シリーズ 広告代理店・17 ~小林克也氏との出会い(2)

さて、昨日はあまりまとめきれなかったので、気をとりなおしてマッキャンエリクソンの話の続きを。
私が担当することになった番組を、とりあえず書き出すことにしました。


タイトル:「London Music Liner」
出演:小林克也
放送:毎週金曜日8時~8時30分
提供:ネッスル日本(現ネスレ日本)
代理店:マッキャンエリクソン博報堂(現マッキャンエリクソン)
番組内容;イギリスBBCが毎週制作しているポップスのチャート番組「Top of the Pops」をDJ小林克也の解説を入れてオンエア。現在のイギリスのヒット曲をオンタイムに聴くことができる画期的な番組。イギリスのDJはブライアン・マシュー、BBCの人気DJ(らしい)。番組の英語の部分を書き起こしたスクリプトを希望者全員に進呈。


番組を作るのは本当に大変でしたが、イギリスの音楽が心から好きだった私には極めてエキサイティングな番組だったといえます。
何しろ、当時のイギリスのチャートは、アメリカのそれとは随分違っていて、上位の曲はほとんどパンク。
日本ではニューウェイブと呼ばれるようになり、しばらくしてセックス・ピストルズ、ジャム、ストラングラーズ、クラッシュなどが話題になりましたが、この番組ではその萌芽の頃からパンク・ムーブメントを紹介することができたのです。
リッチ・キッズ、シャム69、ダムド、アンダートーンズ、ジェネレーションX、バスコックス、スージー&ザ・バンシーズ、そして文字通り「Top of the Pops」というヒット曲を持つレジロスがいました。
日本では、ほとんどレコードは発売されなかったようですが、私は何だかんだと手配して、だいたいの音を手に入れていました。
レジロスは、たまたまアメリカのウェストコーストにいた時、レコード屋でアルバムを見つけ即効購入しました。
以下は、そのヒット曲「Top of the Pops」です。




音楽の話になってしまいましたね、代理店の話に戻します。
広告代理店というのは偉いもんだなと思いました、BBCの音源をオンエアして英語の勉強の素材にも使ってもらおうという提案をクライアントに提出し、OKをもらうのですから。
つまり、ただ単にBBCの番組を紹介するのではなく、それで英語も学べますとすれば、ネッスルのコーヒーを飲む層から絶対に喜ばれますよとプレゼンされたのだと思います。


ちょっとした豆知識をここでお知らせします。
実は、ネッスル日本には、AE的な代理店は2つありました。
1つは、マッキャンですが、もう1つは電通です。
AEが二つあるというのは、本来変なのですが、商品で分けていたというのが現実でした。
マッキャンは、ネスカフェのAE。
電通は、ネスカフェ・ゴールドブレンドのAEでした。
そのため、マッキャン扱いの私の番組には、ネスカフェのコマーシャルのみで、ゴールドブレンドは流れません。
また、テレビでは例えば電通が買い切っている番組では、ゴールドブレンドのCMしか流れないのです。
日曜洋画劇場でしたか、ダバダ~とか言って黒澤明さんとか有名俳優が出るゴールドブレンドしか放送されなかったと思います。(覚えておられますか?)
ネスカフェのコマーシャルといえば、ロバータ・フラックの「やさしく歌って~Killing Me Softly With His Song」を思い出しますね。一応、コマーシャル・バージョンを貼り付けておきます。



やはり、音楽の話になってしまいました。
話を戻しますが、何故ネッスルは2つのAEを持ったのか、その当時私が聞いた話に憶測を交えて話しますと、本来ネッスルはマッキャンに日本の宣伝もお願いしたかったのですが、日本ではテレビにCMを流そうと思っても、ゴールデンタイムのほとんどが電通などの巨大広告代理店が押さえてしまい、テレビ局に他の代理店が金を出すから売ってくれと言っても、ほとんど売ってくれなかったようです。
このあたりは、大下英治さんの「小説電通」にも同じような話が出てきますので、興味のある方はそちらを。
そういうことで、ネッスルが日本で円滑に商品の宣伝活動をするためには、電通の顔を立てるというか、良好の関係を持つことが重要になり、ゴールドブレンドの権利を電通さんにお渡しになったのでは、ま、そう考える次第です。(あくまで憶測です。ご容赦ください。)


いやあ、代理店の話は何かと奥深いですね~。
さて、今日も何かまとまらない話になりました。
どこが「小林克也氏との出会い」でしょう。
次回は、それも含めて、この項の完結編を書く予定です。



シリーズ 広告代理店・16 ~小林克也氏との出会い

私がディレクターになって初めて担当した番組の広告代理店は大阪のサンケイ広告さんで、クライアントは日刊アルバイト情報(後に「J・One」)を発行していた情報センター。
当時は大阪では有力なクライアントで、そのアルバイト情報に連載していた漫画「oh!バイトくん」で、今や朝日新聞に連載を持たれているいしいひさいちさんがデビューされたのです。(覚えている人は少ないでしょうが。)
実は、提供番組のディレクターということで、私もアルバイト情報に毎回エッセイを書かせていただいていたのですが、その時のカットもいしいひさいちさんが書かれておられました。
今から考えると恐れ多いことです、しかも、その時の雑誌はほとんどなくしてしまい、今や1冊しか手元に残っておりません。
私の話に合わせて、毎回いしいひさいちさんに挿絵を書いてもらっていたなんて、本当に光栄なことです、喜ばないと。


サンケイ広告さんには、本当に新米ディレクターである私を一人前に扱っていただき、広告代理店の仕事を色々と教わりました。
コマーシャルをちょっと作ってみませんかと言われて、今から考えると実にお粗末なコピーでオーディションCMなどを作ったりしました。
多分、鼻でせせら笑われるようなできだったと思いますが、熱心に聴いていただき、アドバイスも受けた記憶があります。
ほんと、穴があったら入りたいという気分ですね、今も。


さて、それからしばらくして、ちょっとカルチャーショックを受けた代理店がありました。
マッキャン・エリクソン博報堂(現マッキャン・エリクソン)といい、アメリカの代理店マッキャンと博報堂が合弁して作った会社です。
当時はまだ東京にしかオフィスがなく、打ち合わせに態々何回か東京まで行ったりしました。
ある番組を現在プロモート中なので、君、ちょっとやってくれないかと上司から指示されたのがマッキャンとの出会いでした。
クライアントは、ネッスル日本(現ネスレ日本)で、本社は神戸にありました。
指示された内容はこうです。


今度、イギリスのBBCが世界向けに作っているブライアン・マシューズの「Top of the Pops」を毎週送ってもらって放送することになった。
で、それを使ってどんな番組にするか考えてほしい。
代理店はマッキャンエリクソン博報堂で、この企画をネッスル日本に提案し、ほぼ応諾を得ているらしい。
日本のDJとして小林克也が考えられているので、ちょっと内容の打ち合わせなどもしてくれ。
ディレクターをやり始めて間もない君には、まだ荷が重いかもしれないが、基本的に英語の番組になるので、君がやるのが一番いい、じゃ、たのんだよ。


確かにすごいプレッシャーでした。
小林克也さん、もちろん名前は知っていました。
英語のDJとして、脚光を浴び始めたころで、「ベストヒットUSA」はまだ始まっていませんでした。
多分、まだ小林さんの顔は誰も知らないという時代、会ってみて初めて私もご尊顔を拝し奉ったわけですから。
上司から英語だから君やれというのも私としてはよく分らない話でしたが、とにかく手探りで番組の内容を検討し始めました。


「Top of the Pops」、BBCのサイトに簡潔にこう書かれています。
「Long-running music chart show featuring videos and performances」、ああ今ではPVや生ライブを流しているテレビショーになっているんですね。
で、当時、日本に送られてくるのは、オープンリールの10号テープ。
BOAC(今の英国航空)の貨物便で送られてくるので、ほぼ制作されてから1週間で日本に届きます。
これを、適当に編集して30分の番組を作れ、DJは小林克也、なお、英語の部分は日本サイトで書き起こしてスクリプトにし、希望者全員に配れとの仰せでした。
何か、考えるだけで大変な感じしませんか?


そうです、こういったコンセプトの企画が広告代理店からクライアントのネッスル日本に提案され、それが了承されてFM大阪に下りてきたというわけです。
じゃ、一応これをブレイクダウンして実際のプログラムに置き換えてくれる?今度、東京でクライアント交えてプレゼンするからよろしく~。
ま、そういう感じで、私の元に来たわけですが、正直、それを伝えられる代理店の方には少々驚かされました。
何か、言葉に英語がやたらと混じる。
しかも、その英語の意味が、広告用語なんかほとんど知らない私には、何を言っているのかわからない。
アカウントエクゼクティブは何とかわかっても、アカウント何ちゃらとか、マーケティング何ちゃらとか、ほぼアメリカの部署名や役職を名刺に書くものだから、この人が何している人かさっぱりわからず。
ま、顔と名前だけ覚えていればいいかという感じで、何とかオーディションテープの作成までにはこぎつけましたが、今でも何が何だかわからないまま。
ということで、あの時のことは今も言葉で再現できないというのが正直なところです。


話が、少しややこしくなってしまいました。
気を取り直すために、ちょっとブレイクして、続きを書きたいと思います。
ほんと、何か私自身も何をどう表現していいやら、わからないといいますか~。
また、次回。