カテゴリー : 2012年 4月

シリーズ ラジオの売り方(6)

ラジオの売り方、現在通用していると思われるのが、ラジオショッピングとレスポンス広告でしょうか。
午前、午後のラジオのワイド番組にはこの二つはつきものです。
それとパブ原稿、すなわちパーソナリティの声で生CMをニュースのように読むのですが、これも商品によっては効果的だったりします。
1回あたり、1分ぐらいで、10~20万円なんて売価がついています。
実際どれぐらいで売られているかは別ですが。


さて、では何故ラジオショッピングやレスポンス広告はありなのか。
これらは、実際にユーザー(リスナー)からの反応に対して、値段をつけられるという利点があるのです。
ショッピングで例えば100人の人が買ったとします。
売値は5000円だったとすると、1回で50万。
広告費として20%、すなわち10万円ラジオ局に支払うとしたら別に問題はないということになります。
ま、1回10万円電波料をいただけるのでしたら、ラジオ局も悪い話ではありません。
問題は、反応がない場合です。
もちろん、ラジオショッピングを提供しようとする通販会社なら、反応がないような商品は扱わないでしょう。
しかし、たまに思惑が大きく外れ、予定していたほど売れないという事態が起こります。
そうすると、どうなるか。
どういう理由があれ、しばらくそのラジオ局へは出稿しないという結果になります。
反応が少ない、すなわち誰も聞いていないラジオ局、リスナーを獲得できていない局という烙印を押されてしまうのです。


レスポンス広告はどうか。
こちらも反応がなければ、あまり聞かれていない局という位置づけはされてしまいます。
しかし、だからといってクライアントは提供をやめるということはありません。
なぜなら、1つの反応に対して例えば1万円を払うと決めたりしているので、反応がなくとも別に損はしないのです。
反応はなくとも、それ自体がラジオスポットですから、買わない人に対しても商品名やブランドを告知できているのですから、、例えば別の機会に新聞広告を見て「そういえば、ラジオでもやっていたな、一度電話してみるか」という人が出てくる可能性もあるのです。
メディアミックスの一つですね、で、その反応分はどこに払われるかというと、最後の新聞広告に対して払われるというのが常識的なところではないでしょうか。
ラジオ局、いかれっぱなし、ですね。


そういうことで、ラジオ局、自分たちがリスナーを獲得できている自信を持っていれば、営業的にはウェルカムなのがラジオショッピングであり、レスポンス広告というわけです。
逆に、あまり聴取率的にも芳しくない局にとっては、自分の手の内をさらすようで、若干躊躇しないわけではないのですが、背に腹は代えられず、それでも反応ゼロというわけではないので、今日もせっせとショッピングにレスポンスに励んでおられることでしょう。


とはいえ、何度も繰り返していますが、こういう広告、大多数のリスナーにとっては鬱陶しい存在です。
できればやめてもらいたいもの、その筆頭がラジオショッピングです。
広告なら広告でかまわない。
でも、ワイド番組のパーソナリティを巻き込むなと思っているはずです。
その時のパーソナリティの喋り方、それが媚を売っているというのか、何ともわざとらしいので不愉快なのです。
だから、全然関係ない喋り手が広告を広告のように伝えればそれでいいのです。
でも、広告代理店はそんなことを許しません。
ラジオショッピングにしてもレスポンス広告にしても、「何を伝えるか」よりも「誰が伝えるか」を重視しています。
伝えるのは、ラジオ局の人気のパーソナリティ、あるいは局アナ、実際に説明している人は有名でなくてもいいが、それに対応するのは、情報発信能力が優れていて、多くのリスナーの心をつかんでいる人ということになります。
その代わり、広告費は少々高くてもかまわない。
ショッピング業者、そのあたりのノーハウは十分に持っているというわけです。


リスナーからはやめてほしい、クライアント(+広告代理店)からはどんどんやってほしい、局からは背に腹は代えられない、そんな放送が日々流れています。
ラジオは長期低落傾向であり、若者から見放されている。
そのあたりに、崩壊しかかっている何かがラジオの中にあるのではないか、私は思うのですが、いかがなものでしょうか。
本当はやめたい、ラジオショッピング、そんな声が大きくなる日は来るのでしょうかね。



シリーズ ラジオの売り方(5)~イベント・オリエンテッド

さて、ラジオの売り方というタイトルで、ラジオの周りの状況ばかり書いてきましたが、今日から具体的な方策に触れてみようと思います。
第一回はイベント・オリエンテッド。


ラジオは、かってはタイム提供、スポット提供という形でも、クライアントに効果を見せることができました。
例えば、若者を対象にした専門学校などの入学案内スポット。
私が営業時代に担当したクライアントに、大阪モード学園、大阪デザイナー学院、日本コンピュータ学院などがありましたが、実際の反応はあったようで、毎年広告計画の中に入れてもらっていました。
平成元年に東京に移ってからも、代々木アニメーション学院提供による声優さんの番組のプロデュースもしましたから、ついこの間まで、そこそこ学校関係のクライアントから評価されていたと思います。
(ちなみに番組名は「空飛ぶアルマジロ」、出演は三ツ矢雄二さんと富永ミーナさんでした。)


ところが、今はどうなっているかというと、本当に専門学校の名前が聞こえてきません。
デザイン系もなければ、美容系もコンピューター系も出稿なし。
何故ラジオにスポットを打たなくなったのか、私の聞いたところによると、毎年入学してくる生徒のほとんどがラジオを聴かないとアンケートに答えているからのようです。
そうです、専門学校は総じて広告媒体のチェックに厳しいのです。
生徒に必ず、志望動機とどこで本校を知ったかを答えさせるといいます。
その中にラジオがなければ、容赦なく切る、ま、当たり前と言えば当たり前のことなのでしょうが。


ということで、もはやラジオのスポットは、商品展開には不向きと烙印を押されている気配濃厚です。
スポットなんか打っても効果ない、どぶに捨てるようなものだ、あからさまにそう言われるクライアントも多いとラジオ局の営業マンもぼやいています。
じゃ、どうしたらクライアントがもう一度ラジオを使おうと思ってもらえるのか。
一つの答えとして、実際にラジオで告知することによって人が動くのを見せることがあげられましょう。
タイトルにも書いたイベントオリエンテッドなラジオを打ち出すことです。
ラジオ祭だ、番組出演者全員集合だ、チャリティソンだ、何だかんだ。
基本的にラジオというのは、ハレ的メディアではなく、ケ的メディアと言われています。(テレビはハレ的メディア)
つまり日常を伝えて行くのがラジオの本来の役割なのですが、それではクライアントは出稿してくれなくなったのは事実のようです。
仕方がないといえば語弊がありますが、少しでもハレ的な側面を見せることによって、クライアントの気を引くしかないのかもしれません。


先日も、こんなイベントがありました。
焼酎の試飲イベント。
新製品の焼酎を特に若い人に飲んでもらいたいというので、若者スポットに番組のパーソナリティを派遣し、一日プロモーション活動を行うというもの。
ラジオに求められているのは、人気パーソナリティが現場に来てもらうということと、その人の番組で事前にPRしてもらうこと。
スポットなども流れますが、いわゆるイベント告知用のフリースポット。
1本いくらというものではないのが普通でしょう。
これなどクライアントからすると、実際に人の動きが見えるならラジオでもいいかという考えなのです。
こんな焼酎が出ました、買ってくださいなんてスポット、最近はまずラジオには来ないでしょう。
テレビでバンバン流れているビールのスポット、ラジオにあれの1/10でも宣伝費が流れたら万々歳なのですが、まずそんなことはありえない。
そんな直接的な効果はラジオに期待していないのです、昔は「若さだよ、山ちゃん」とか言って、しょっちゅう流れていたもののですがね。


ということで、今のラジオ、ラジオショッピングとかレスポンス広告のように、すぐに効果が見えるような分野でしか需要がないというのが現実なのです。
イベント・オリエンテッドも、基本的に見えることによってクライアントの需要を生み出していると考えられます。
何度も言ってきましたが、ラジオは目に見えません。
それゆえ、ラジオが強化すべきなのは、如何に自分たちの効果を目に見えるようにするかなのです。
民放ラジオ統一キャンペーンの「ラジオがやってくる」というのも、自分たちの存在を若い人に見てもらうための一企画といえるでしょう。
こういうのって、思いつき程度にやってもだめです。
最終的にどういう効果が出れば合格なのか、それを具体的に設定し、それを達成することを各局に義務付ける、これぐらいしないと線香花火みたいなものに終わってしまいかねません。
イベント・オリエンテッドの話、少し散漫になってしまったようです。
次回は、今日の話を前提に、具体的な問題をさぐっていくつもりです。



シリーズ ラジオの売り方(4)

放送業界のトレンドを簡単にまとめるとこうなります。

放送自体の売上は低下傾向。
各局は経費、とりわけ制作費を大幅に減らすことによって黒字決算に。
自律的に反転する要素は現在ない。

ラジオ局に至っては、赤字決算が常態化しているところもあり、放送自体の売上げが伸びることは考えられないといわれています。
ラジオ局で顕著に見られること。
社員の人件費の大幅カット、制作費の大幅カット、不要不急な支出のカット、福利厚生費のカット。
会社で出世する人は「カットマン」と呼ばれ、皆から恐れられているそうです。(ホントかな?)


ラジオの売り方というタイトルで、シリーズを始めましたが、自分で言うのもなんですが、なかなか答に近づきません。
商品として、もはや飽きられているのでしょうか。
日常用伝統工芸品の扱いをラジオが受けているとしたら、つまり老舗的価値を維持し、年配以上の方には今も愛用されていると言うような位置づけならば、なかなかイノベーションを起こして、商品を活性化させるというのは難しいかもしれません。
若者におもねると、根強い年配のユーザーが離れてしまいます。
いわゆる二代目、三代目が、今までの商売のやり方は古いと言って、新しい商品開発をし、今までの伝統を守ってきた従業員を排除、その結果、お客さんがどんどん逃げて行き、あげくに倒産・・・・。


ラジオは、こうあるべきだと、頑固に言い続ける業界大御所の出演者の方も一杯おられます。
改編の度に、そういう人たちから怨嗟の声もよく聞かれるようになっています。
ラジオは、もっと人々とコミュニケーションをとらないといけない・・・。
全体を大幅にいじれば、今までの客は逃げていく。
それでいて、肝心の新しい客の開拓は、どこもうまく行かない。
例えば関西のFM局、FM802、FMcocolo、FM大阪、kissFM、何かそのあたりでもがいているような印象があるんですよね。


FM802の方、45歳以上の方はcocoloを、それ以下の方は802をどうぞ、なんて言っておられます。
選択と集中と言う考え方からするとそれもありかなと思うのですが、何か同じようなターゲット論で長期低落傾向の音楽業界
みたいになりはしないでしょうか。
cocoloは、45歳対象のFM局と打ち出したことにより、実際どれだけの新しいリスナーが獲得できたのでしょう。
元々のcocoloのリスナーは、番組を大幅に改編することによって離れていったのは事実でしょう。
で、その代わりにそれ以上のリスナーがやってきたかどうか。
今のところ、聴取率に大きな変動はないとお聞きしています。
「Cocolo、聞きやすいよ、ぼくらにはピッタリ」と褒めちぎる50代の方を知っていますが、その人、ついこの間まで聞いていたのは802でした。
下手をすると、Cocoloの常連リスナーを逃がして、802のリスナーを半分こにしただけなんてこともありえましょう。


今のご時勢に、ラジオ局を二つも持つなんて、と心から思います。
例えばNHKみたいに、一つを従来のFM放送、もう一つを教育放送に改編し、テキストなどを発行販売して儲けるビジネスモデルにしたほうが、わかりやすいかもしれません。
とはいえ、立上げの時には、このパターンだと金かかるでしょうね。
ある程度コンテンツが増えれば再放送ということもできるようになるのですが。
それと大阪だけというのは、効率が悪すぎです。
教育放送ネットワークみたいなものが必要だし。
インターネットで補完しますか?


Cocoloは外国語放送なのですから、ハングル講座など外国語講座のレッスンとかやったらいいのではと思うのですが、そうなると聴く人減るでしょうね。
リスナーは固定化されても、絶対数が限定されます。
それでビジネスモデルが描けるか、リスナーからどれだけテキスト販売費など収入が得られるか。


とはいえ、今のように45歳だけを前に出してクライアントに提供を促すよりは、実際に人が動きそうな感じもします。
このあたり、放送局の人が、日々リスナーの感触を把握しながら、どういう番組を作れば新たな聴取習慣を作れるかを考えるしかなさそうです。
私のような、ほとんどリスナーと接していないものが、新しいラジオの売り方を提案するなど笑止千万ですな、はははは・・・。
(何か、自分で自分を揶揄してどうする。)
そういうことで、私のぼやきのような雑談を交えつつ、シリーズ ラジオの売り方、次回に続きます。