カテゴリー : 2012年 4月

シリーズ ラジオの生きる道(18)~ネットワークとFM大阪

FM大阪はネット番組を受けるのをやめ、自主編成にすればFM802といい勝負をするだろう、私はそんな感想を持っています。
何故、FM802が大阪で受けているのかといえば、そのほとんどが大阪の自主制作番組だからです。
土曜、日曜の昼間も、生放送を行っています。
車でラジオを聞いている人は、やはり今大阪ではどんなことが行われているか、DJが今何をしているのか、何を考えているのか、そういう同時代性に共感しようとするものです。
同じ時間を共有している、それもラジオでは重要な要素なのです。
なのにFM大阪では、東京から流れてくる、いつどこで収録したかわからない番組をただ漫然と流しているだけです。
出演者は確かにビッグかもしれませんが、ここはテレビではありません。
大阪を体現できるなら、そんなに有名でなくても、いや体現さえできればリスナーが出演者を有名にしてくれます。
前にも書いた「たまごっちラジオ」です。
育てるのは、リスナー、ユーザーなのですから。


今は、どれだけ有名なアーチストであれ、さまざまな情報が24時間ネットで流れています。
ラジオの出演者にわざわざ名前を求めたりしません。
なのに、過去のビジネスモデルを変えることができないラジオ局(FM大阪を筆頭とした)は、いつまでも出演者の名前に頼ろうとするのです。
いわゆるユーザー(リスナー)とのミスマッチ。
クライアントには、もはや自明のこの事実を何故かラジオ局は意識していない、わかっているのかもしれませんが、具体的対策は何もしていない。


昨日最後で書いたように、ビジネスモデルを変えることは、短期的にラジオ局を赤字にさせます。
そして、その企てが失敗すれば、当分赤字が続くのは見えています。
そんな危険な選択ができる経営者は、例えば今のFM大阪にはいないでしょう。
今までこれでやってきたし、今の中に新しい萌芽もあるはずだ、ネット番組を切るなんてバカなことができるわけないだろう。
多分、色んな理屈を振り回し、現状を肯定されることでしょう。
しかも、大阪がJFNのネットを受けなくなれば、スポンサーがJFN番組の提供を中止する材料を与えるようなものだとTFMから猛反対が起きるかもしれません。


全国ネットというのに大阪だけ放送しないでは、全国を相手にするクライアントは困惑するでしょう。
そんな状態なら、いっそ番組提供をやめた方がクライアント的に問題は起きません。
大阪だけ、ローカルの別番組になんてことも、今の状況では考えないでしょう。
神戸のKISSFMがネットを受けていれば、曲がりなりにも全国ネットという形は成立しますが、やはりFM大阪で流れなければ完全ではないでしょう。
それよりも、今やクライアントは全国ネットのラジオ番組に昔ほど熱心ではないというか、商品の宣伝展開で重要なメディアだと思っていないのではないでしょうか。
ラジオは、全国ネット番組よりもローカル番組の方が使い勝手がいい、多分偽らざる気持ちだと思いますよ、クライアントの。


音楽業界の方の話です。
新曲キャンペーンで、大阪にプロモーションでやってくるアーチスト、今も昔と変わらないぐらいおられます。
で、ゲストブッキングで、いくつかのテレビ、ラジオ、新聞、雑誌と交渉されるのですが、一番望んでいるのがFM局のブッキング。
AM局でもゲストブッキングできる人気の番組は多いので、それでも大いに嬉しいのでしょうが、何といってもFMは音楽をちゃんと聞いてくれます。
そして話題も音楽が中心、新曲キャンペーンでわざわざ来ているのですから、AM局が得意のパーソナルな話題に時間をかけるよりも、リスナーにその曲を興味を持って聞いてもらいたいのは当然でしょう。
しかもFM局なら、どこでもいいかというと、やはりメインは大阪の2局、FM802orFM大阪なのです。
ブッキング表を、例えばアーチスト事務所に見せた時、最低限どちらかの局が入っていればとりあえずOK。
どちらもなく、FMは京都とか神戸では、手放しでは喜んではくれない、大阪は無理だったんですか?と必ず聞き返される、とその人は言っていました。


腐っても大阪、なんですね。
例えば全国を対象にしているクライアントも同じような感想を持つでしょう。
大阪は、やはりマーケットとしてはでかいのです。
東京で展開できればそれでいい、なんて全国対象のクライアントは思いません。
東京から情報発信すれば、必ず大阪にも届くと思うから東京をキーとしたネットワークに金をつぎ込んでいるのです。
大阪に届かないとなると、そんな金使いますか?


大阪がネットを受けない、そうなれば、クライアントは番組提供をやめる、一昔前はありえないことが、今では簡単にそうなる時代です。
ある意味大阪には地雷が埋まっているという事態です。
誰かがそれを踏めば確実に被害は出る、なんかそんなイメージを描いているのですが、どんなものなのでしょうかね。
ネットワークとFM大阪の話、次回も続きます。



シリーズ ラジオの生きる道(17)~FM大阪!・2

今のFM大阪をどう思いますか?今後どうあるべきだと思いますか?
そんな問いかけを外部の方から受けたりします。
元FM大阪だったら、内部事情を知っていて、問題点もよくわかるのではないかと思われているようです。
でも、正直なところ、内部事情にはあまり精通していません。
最低限の情報は教えてくれますが、細かい部分までは誰も伝えてくれません、まあ、当たり前でしょう、関連会社に名を連ねていても、基本的外部の人間ですから。
ただ、会社の体質というのは、さすがに20年もいれば察しはつきますし、それが革命的に変わっていたら嫌でも目につくはずなので、最初の問いには何とか答えられる部分もあるかと思います。


今のFM大阪、業界の平均から比べるとよくやっていると思いますよ。
赤字の連続から脱し、何とか黒字決算を続けられていますし、新しいクライアントの開拓に営業の皆さんも日々努力されているのは事実でしょう。
問題なのは、それでもラジオ業界にはこれといった長期的展望がないということです。
短期的には、何とかうまく乗り切れた、しかしこれを長期的に続けられるかというと、何か新しい波というか、上昇気流が起きなければ早晩行き詰まるという危機感は共有されているようです。
何か考えろと言っても、ラジオ業界には自律的にビジネスモデルを作り上げるということに不慣れであったことは、私が何度も繰り返して述べていることです。

FM局に限定すれば、JFN系列はとにかくTFMのリーダーシップに期待するしかないでしょう。
JFNはTFMと運命共同体、とにかくTFMに頑張ってもらうために、JFN各局は一致してサポートしましょうという空気を感じます。
というか、それしか加盟各局は切り札を持たないというか、広告費にラジオが占める割合が毎年減り続けていることへのソリューションがないのですから。
じゃ、肝心のTFMには、現状を打破する施策が何かあるのか。
ついこの間までは、V-low、デジタルラジオへの展開というものが声高に語られていましたが、今は実証実験の話は流れていても、具体的な中味にまであまり言及されていません。
電波割り当ての調整段階の今は、変に自己主張をしない方がいいというコンセンサスでもあるのでしょうか。
またJFN以外のFM局からは、デジタルラジオへの取り組みに関してはあまり情報が伝わってきません。
FM802は、もちろんそれどころではないでしょうし、首都圏の県域FM局も、自分たちが率先してどうのという話でもないというスタンスのように思われます。
ま、V‐Low、デジタルラジオの話は、今月の17日に民放連ラジオ部会で語られるようですから、それを待つとしましょうか。


話がそれてしまいました。
FM大阪、今後大阪のFM局として、FM802に対抗しながらどう経営を成り立たせていくのかが課題と思われます。
それで行くと、一番の優先事項はTFMとの連携なんでしょうね。
社員の意識としては、TFMに依存しようとはあまり思っていないのだと思いますが、長期的な展望を語る時には、避けて通れない問題かもしれません。
今の社長は、TFMの出身の方ですから、そのための調整機能は十分認識されておられることでしょう。
ただ、じゃ、大阪のローカル局として、関西のリスナーを取り込んで大阪の広告メディアとして大きな位置を占められるようになるかというのは別問題です。
大阪の文化的基盤を失えば、大阪のリスナーからは総スカンを食う、それは関西の放送業界の人間にとっては常識になっています。
ネット番組を増やせば、ローカル番組を流している局に負ける、それはFM大阪の例、最近の朝日放送の例を見てもよくわかることです。
大阪以外の地方は、東京の番組を流した方が受け入れられるにもかかわらず、大阪では全くその逆という事実、意外と首都圏の方には理解されにくいというか、実感してもらえない、私は東京生活24年目になりますが、本当に痛感しています。
ローカル番組>ネット番組なんて認識、大阪人しかわからない感性なのでしょうか。


FM大阪、多分、今のネット番組の割合を大幅に減らし、80~90%をローカル制作にすれば、聴取率は飛躍的に伸びるはずです、これは間違いないと私は思います。
それができない理由は二つあります。
一つは、制作費が増えるために、過渡的に赤字になるということ。
もう一つは、キー局のTFMとJFN各局がそれを認めないことです。
これも長くなる話なので、とりあえず今日はそれを提起するだけにして、次回にでもネットとFM大阪について考えてみることにしましょう。



シリーズ ラジオの生きる道(16)~FM大阪!

さて、色々躊躇するかもしれませんが、精一杯FM大阪のことについて書いてみます。
FM大阪、2年前までの約5年間、私は湊町に事務所を置き、そこで番組制作のお手伝いなどをしていたということをまずお断りしておきます。
今は、ほとんどタッチしておりませんし、FMのある湊町に行くこともまれになりました。
今でも手伝えるものなら手伝いたい気持ちもありますが、何かややこしそうといいますか、こちらの気持ちが素直に届く感じもしないので、現在はつかず離れずというところでしょうか。


今のFM大阪、私が社員として働いていた頃と何が違うかというと、何か職場から情報発信があまりなされていないということですね。
かつては、誰かが表側でも裏側でも、何か不思議なことをやっていて、それが外の人にうまく伝わっていたと思うのです。
今は、どうなんでしょ、外側に対しイノベーターとして時代を発信している人、いるのでしょうか。
私はこう思うんだけど会社は動いてくれないとか、こんなことしたいんだけどプロデューサーが許してくれないとかいう声を制作現場でよく聞きます。
番組やっていても、選曲はほとんど上で決めて現場に降りてくる。
だから、自分で選曲する余地がない、などというぼやきも多い。
本当にそうなのかなと思うのですが、現場の方(ほとんど外部ブレーン)がそういうのですから、おそらくそうなのでしょう。


自分がこうしたいと思う番組作ればいいじゃないかと思うのですが、そんなことは制作会社の人、フリーのディレクターには考えも及ばないことのようです。
言われたことを毎日実行する、そうしない限り、いつクビになるかわからない、いや、言われたとおりにちゃんとやっていても、制作費カットのしわ寄せで、お疲れさん、また機会があったら頼むわの世界に。
ワイド番組あんなにあるのに、溢れるようなアイデアが泉のように湧いているように見えないのは、結局どこかが詰まっているというか、自由な発想を現場にさせない空気を会社が作っているのでしょう。
空気を変えればいいのですよ、上から統制するのではなく、新しいことを考えたスタッフを優遇するとか。
毎回毎回同じことを繰り返すしか能のないスタッフは思いきって外すとか。
え?最初にプロデューサーが外されるのでは?
そりゃ、能のないプロデューサーなら、そうするしかないでしょうね。
でも、じゃ、それを埋める人材が他に社内にいるのかどうか。
う~ん、どうなんでしょう。


よその局、特に東京の局などを見ていると、社員でなかなか鋭い感覚を持っている人材、そこそこいるのがわかります。
この人、次はどんな番組を提起するんだろうとか思って、ちょっとわくわくしたりして。
でも、悲しいかな、そういう人材、しばらくすると人事異動でどこかへ行っちゃうんですよね。
会社の枠にはまらないからなのか、それとも優秀すぎて次代の会社を担うエリートコースへ引き上げられてしまうのか。


FM大阪、じゃ、そんな優秀な人材いますか?ということになりますが、正直、いると断言はできません。
入社した時は、そこそこ嘱望された人間も、長い年月のうちにメッキがはげるというのか、耐性がおちるというのか、脱皮するでもなく、ただ昔の皮をかぶったまま、年だけ老いて行きます。
皆、同じところでぐるぐる回っている。
確かに給与も安くなったし、自由になるお金も減った。
だから、ブレーンを持つこともできないし、人とのつきあいもできない。
自分に対する投資にお金をまわすこともできないまま、毎日、時間だけが過ぎて行くのかもしれません。


ー何故~しないの?
先輩、そんなことができる状況じゃないんですよ、今は・・・・。
ー小さくてもいい、毎日一つ一つ違ったことしようよ、その積み重ねのうちに、何かあるかもしれないじゃないか。
(無言)


FM802と比べて違うこと、リスナーとの接点が薄い・・・。
リスナーと、現場はどれだけ交流しているのだろうとよく思います。
スポンサーとか代理店とかとは、昔からFM大阪はその質はどうであれ、交流だけはよくあったなという印象。
でも、リスナーに対して、愛情が足りないんじゃないかと私はよく思ったものです。
リスナーは、おれたちの言うとおりにしていればいい、余計なことはするな、みたいな感想を現場が持っていたのではないかと。
だから、リスナーのことはよく知らない。
クライアントから聞かれても適当な答えをする、それが誤りであったことがわかると、また一つ信用を落とす。


4月からFM大阪は一部改編を行った。
朝枠の生放送部分と深夜枠をJFNにまた明け渡した。
フィラー的な番組を増やし、制作費のカットは実現したとしても、リスナーの意向にそったといえるような番組は相変わらず見当たらない。
これでいいと思っているわけではないと思います。
でも、今はこれしかできない、それが開局以来40年を過ぎたFM大阪の現状なのかもしれません。
お、これは面白そうだと、快哉を叫べる番組とか企画、小さくてもいいからないのでしょうか。
それとも私が知らないだけでしょうか。
いやあ、今のFM大阪面白いですねえ、さすが851ですねと私に話しかけてくれる人がこれからどれだけ増えるのか。
増えてほしいですよ、もちろん。
私を、今のような立場にさせてくれたのも、FM大阪の恩恵の賜物なのは間違いありません。
このままフェードアウトするような、そんな未来だけは見たくない、その気持ちだけは今も強く持っているのは事実なのですから。