カテゴリー : 2012年 4月

シリーズ ラジオの生きる道(15)~FM802の行方・2

FMCocoloを吸収し、1局2波体制をとったFM802、この選択にラジオの生きる道があるのかどうか、今日はそんな話をしてみたいと思います。
私の考えはシンプルです、同じようなものを2つ持つことで、何か可能性が生まれるのかどうか、多分無理なのではと。
同じものでなければいいのです、テレビとラジオとか、携帯電話のような通信サービスとラジオとか。
ラジオとラジオで何ができるのか、その例はNHKとラジオたんぱ(現ラジオNIKKEI)ぐらいしか思いつきません。
しかも、この2つの例、商業放送として成功した例にするのは無理でしょう。
NHKの場合は、一般の放送と教育放送。
ラジオたんぱの場合は、株式市況と競馬中継、それに医療関係の専門的情報などですが、最近は2つの放送で同一内容(サイマル放送)を流していることが多いようです。
早い話、別の番組を流すのがきつくなっている、そんな状況ではないかと推測されます。


802とCocoloの番組、昨日も書きましたが、かたや45歳以下、かたや以上という風に分け、それに合った番組内容を考えるという選択をされています。
何か中途半端だなと思うのです。
NHKのように、一般放送と教育放送ぐらいの分け方をすれば、誰が聞いてもすぐにわかります。
また、それに合わせた見せ方ができるでしょう。
でも、45歳で分けたところで、どんな見せ方が可能なのでしょう。
802は邦楽しなかかけない、Cocoloは洋楽オンリーと言った方が、まだビジュアル的イメージがわきます。
でも、そんなことをすれば、従来の802のリスナーを半分にするだけかもしれません。
2つの局を持つシナジー効果、いずれにせよ今のところ生かされているとは思えない。
45歳を境に二つにわけたAとBが、相互にどんな生産的な影響を与えることができるのでしょう。


すでにどちらかが圧倒的な市場占有力を持ち、それを片方が補完するという形をとるなら意味があるかもしれません。
しかし、今やFM802は圧倒的な市場占有力を持ってはいません。


FM802が一時期驚異的に業績を伸ばした理由を考えてみましょう。
まず、若者を中心に従来のFMに飽き足らない層が存在したこと。
そして、音楽業界、広告業界にも既存のFM局の編成が固定化し、新しい市場が作れない(自分たちの創意工夫が満たされる番組が作れない)という不満があったことなどがあげられます。
802はそういった状況を把握しながら、そこから生み出される上昇気流にうまく乗ったということです。


802が最初に始めたステッカー・キャンペーン。
大阪の車のほとんどに、802のステッカーが貼られるほど、このキャンペーンは大当たりしたといいます。
きわめてアメリカ的なPR手法なのですが、それをアイデア一発で始めた802に、これから何としても伸びるんだという強いエネルギーを感じたものでした。
そして、これまたアメリカのTOP40フォーマットのラジオ局では常識だったヘビーローテーションの採用。
つまり、一日放送の中でおおよそかける曲を決めておき、その中で何回もローテーションでかけるというもので、ヒット曲を生み出す局という位置づけが可能になる方法論だったと思います。
音楽業界ー広告業界ー若者というトライアングルが、スパイラル的に上昇する、それが802の成功を導いて行った、私はそう考えています。


そして、開局以来20年が過ぎ、上昇気流に乗った時代は終わりを告げました。
音楽業界は、ご承知のとおり、CDの売上減とともに、年とともにシュリンクしています。
広告業界は、もはやラジオ単体にはさほど興味を示さなくなりました。
ラジオで何かをしようという仕掛け人は減る一方、いや未来への仕掛け人を養うポテンシャルはもはやラジオ業界からはなくなったと言ったほうが正確かもしれません。
そして、最後の若者、これもラジオの世界からは日々隔絶しはじめています。
過去のビジネスモデルの終焉です。
802の成功体験を元に、FMCocoloを立て直そうというのがそもそもの間違いではないか、私はそう思うのですが、皆さんはいかがでしょうか。


2年前にFM802は2億という赤字を出しました。
その一番の理由は、音楽業界の衰退と軌を一にしています。
レコード会社のCD売上不振による販売促進費の大幅な減少が、FM802の売上減、大幅赤字の原因なのだと思います。
音楽業界と不即不離で売上を伸ばしてきたFM802、それが得られなくなったゆえ、禁断のラジオショッピングに手を伸ばさざるを得なかったのではないでしょうか。
では、Cocoloの獲得は何を802にもたらすのか。
45歳での分割はあまりにも矮小過ぎましょう。


とはいえ、1局2波体制は既に始まっています。
今更、後に戻ることはできないのですから、その危機感は私どもの思う以上のものがありましょう。
これから何が提起されるのか、それは新しいラジオの生きる道になるのか、もしそれが成功したとするのなら、他のラジオ局にもこの苦難の時代を克服するいいきっかけになるかもしれません。
FM大阪も、他の近畿のFM局を吸収するという噂話をチラホラ聞きます。
今回あまり好い話を書けなかった私ですが、前にも書いたとおり、FMCocoloが新しいラジオの可能性に目覚めることを心から期待していることは強調しておきたいと思います。


さて、次回ですが、私の古巣、FM大阪の現状について考えてみるつもりです。
皆さんのご意見やご質問などあれば、コメントでも私へのメールでもいただければ幸甚です。
よろしくお願いします。



シリーズ ラジオの生きる道(14)~FM802の行方

この4月からのラジオ業界の話題は、何といっても大阪のFM802がFMcocoloを吸収し、1局2波体制を作ったことでしょう。
2つも電波を独占できるのですから、さぞ前途洋洋だろうという考え方はもはや通用しないと言われています。
大阪の1つのラジオ電波を、ついこの間までは業界みんなで取り合っていたというのに、いとも簡単に電波継承を認める。
もう、ラジオの電波は要らない、多分儲からないという認識なのでしょうか。


確かに、関西で一番人気と言われていたFM802が大赤字を出す時代です。
放送局の免許を認可され、放送を始めれば苦も無く儲かるなんて期待を持つ人は今やいないでしょう。
さて、FM802、2つのFM電波を持ってこれからどう経営していくつもりでしょうか。
2つの利権を得ているのだから、さぞかし万々歳ではと言う人もいるのですが、利権なんて果たして2つも必要ですかね。
二兎を追うもの一兎をも得ずといいます。
すべて二重に必要なのですから、頭の中がややこしくなるだけではないかとも思うのです。
つまりシンプルだったものが、複雑系になるわけですから、従来のような考え方が通用しなくなります。


45歳までは802、それ以上はCocoloという分け方は凄く雑誌的で面白いのですが、先日も書きましたがそんなマーケットありますか?という話です。
雑誌ならありなのですよ、幼い時は「めばえ」に「よいこ」、「小学1年生~6年生」「中学コース」に「高校コース」、「セブンティーン」に「ヴァンサンカン」、こういう分け方をした方が、「ああ、これ私の為に作ってくれた本だ」とユーザーが勝手に思って買ってくれるわけです。
こういう差別化は市場を活性化させます。
しかし、ラジオはどうでしょう。
「ああ、これ私のために流してくれているんだ」と思って、24時間つきあってくれますか?
そうなのです、ラジオというのは一日つきあってもらわないといけないのです、リスナーはその時間その時間変わったとしても。
こちらから、ある年齢以上のための放送局といっても、対応するマーケットがないというか、クライアントにその認識がないのです。


45歳以上を対象にするラジオって、じゃ、何を放送するのでしょうか。
80年代以前のヒット曲を流す~なるほどね、現在はそういう選曲をされていますね。
話題は、45歳以上限定?続かないでしょ、そんな構成してたら金かかりますよ。
で、45歳以上が聞きたくなるようなラジオ、他にないのですか?
違いますよね、ほかのAM局の午前、午後帯なんか、もろリスナーがかぶってしまいます。
しかも、ラジオで一番金になる時間帯ですよ、年配の方々を対象に、Am局は微に入り細にわたって語りかけています。
音楽だけで勝てるかどうか、ま、そういう層がいることは否定できませんが、商売になるほどのボリュームをつかめるかどうかです。


アメリカならあるんですよね、マーケットが。
オールディーズを一日かけている局、それを車の中、オフィス、飲食店で漫然と聞いている人、多そうです。
でも、日本でそういうポジティブな情景をイメージできますか。
今のFMCocoloを聞いている人を対象に、どういうマーケットが期待できますか?
元々は外国語放送だったんですよね、日本にいる外国の人を対象に放送をしていたんですよね。
まだそういう層を対象にクライアントを探した方が、別の可能性があるのじゃないですか。
アジアの時代といわれ、韓流がこんなに日本を覆い、中国からのお客さんも増えている。
広告代理店にただ頼ることしか考えてこなかった放送業界と、私は何度も繰り返してきました。
ラジオのビジネスモデルを作ったのは放送局じゃない、広告代理店だと。
なら、もっと代理店と話をしながら地道にマーケットを考えるべきだったと思うのですよ。


FM802の方は、自分たちは独力でナンバー1ステーションを作ることができた。
だから、Cocoloだって、自分たちがやれば、成功するんだと思われているのではなかったでしょうか。
私は、確かに802の方々の努力は認めます、誰だってできることではありませんでした。
でも、中味は違いこそすれ、伸び盛りの業界には同じような形での成功はあるのです。
私の古巣のFM大阪だって、一時は大変なにぎわいでした。
多くの若者から支持され、FM大阪があったから今の私があるという人も多くおられます。
一時期のFM横浜、広告代理店からも音楽業界からも大歓迎の中、一世を風靡するような番組を流していました。
FM東京に飽き足らない人が大勢いたからです。
つまり、飢えていた人たちがいた、それはFM大阪に飽き足らない人がいたからFM802があっという間に聴取率ナンバー1になったのと同じ理由です。


今の状態に飽き足らない人がいる、その人たちへの私たちの回答がこれです!とFMCocoloを提起されるなら、まだ可能性もありましょう。
しかし、どこにそんな「飽き足らない」人がいるのですか?
45歳で線を引いて、番組内容を考えるというのは、なかなかいい着眼点だと私も思います。
でも、それは頭の中だけの話。
そこに45歳の飢えはありません。
そんな線を引いてくれと言う声はどこからも聞こえてこない。
まだ、リスナーはそれほど多くなかったとしても、前のCocoloの方が面白かったという声の方が大きいでしょう。


企業寿命30年説というのがあります。
「多くの企業は30年ぐらいの寿命しかないと言われている。30年経てばどんな優良企業でも企業としては赤字経営に陥っているという。」という考えです。
会社が生まれて最初の10年間は右肩上がり、次の10年間は円熟期、最後の10年は次第に衰退していく期間ということです。
802が生まれたのは1989年、今年で23年目を迎えています。
この説によれば、衰退期ということになります。
これ、FM大阪も同じような傾向がありました。
1970年に生まれ、やばくなっていくのは1990年代です。
今は、中はしっちゃかめっちゃか、JFNがあるから何とかバランスが取れている状態というか。


さて、話が少し長くなりました。
この続きはまた次回にでも。