カテゴリー : 2012年 5月

結局人の問題?

少し久しぶりな感じでブログの書込み。
ラジオの売り方シリーズを終えて、何か心が空虚になってしまいました。
でも、今日から頑張って書きます、また皆さん、読んでやってくださいね。


前々回に「停滞あるいは衰退しようとしている企業の根本的な問題はどこにあるかと言えば、人にあるといえます。」という津田さんの言葉を引用しました。
この場合は、結局社長がダメだから会社がダメになるという話でしたが、それは社員に対しても言えるような気がします。
20年ぐらい前でしたか、業界でよく言われていたことがあります。
それは、もはやレコード会社はだめだ、志望する学生が音楽をわかっていないからというものでした。


私が放送局に入り、ディレクターになった頃はレコード会社の人は私にとっては師となる人が多かったのは事実です。
とにかく、皆さん音楽に詳しい。
私の質問に的確に反応していただけましたし、こんな音、手に入りませんかねと聞くと、しばらくするとどこからか調達してくれたりしました。
ある人はオーディオマニアでしたし、ある人はパンクロックの情報に関しては右に出るものはいないというぐらい情報通で、休みができるとイギリスに行って最新のレコードを買い集めて来られたりしました。
そうです、当時のレコード会社、洋楽に強い人が主力でした。
どこか邦楽をバカにしていた感じがしました、邦楽なんか猿真似音楽だと言わんばかりに。
でも、結局そういう人が邦楽担当になり、CD時代になって圧倒的なシェアを獲得していくのですから皮肉なものです。
それだけ邦楽を客観的に見ることができたのでしょう。
でも、今のレコード会社の人は、もはやそんな差別化された能力を持つ人は少数派になりました。
自分のところが出すCDのことは知っていても、他所のレコード会社がリリースするCDについてはほとんど知らなかったりします。
つまり、自社が出すCDの客観的位置を読めないといいますか、きわめて半端な存在でしかない状況といえましょう。
早い話、優秀な人がレコード会社を志望しなくなったということです。
これでは、未来はありません。


そして、最近痛切に思うこと。
放送局にも、能力のある、本当に放送が好きで入ってくる学生が減ったということです。
何か放送マンの使命感というか、ジャーナリストとしての気概というか、そういうものがまるで感じられません。
例えば、FM局でいうと、そこでどう自己実現をはかろうとしているのか、まるで伝わってこない。
何のために毎日会社へ行くのか、どうやれば自分のやりたいことがやれるのか、その情報発信がまるでないのです。
何か、考えてはいるのでしょう、問題意識だってないはずはない。
でも、それを伝えようとしない、わかる人がわかってくれればいいと思っているのか。
それとも、下手に自己主張したら、会社から何をされるかわからないという防御的な気持ちなのか。
「人は石垣、人は城」、武田信玄の言葉として伝わっていますが、本当にそうです、その会社を維持する力は「人」なのです。
その人がレコード業界から消え、次にラジオ業界からも消えてしまったとしたら、どちらの業界にも未来はありません。
人は人なり、です。
景気がどうの、ビジネスモデルがどうのと言う前に、人がいなくなる現実にあなたは何が言えるのか、それを問うてみたいと心から思っている状況です。



シリーズ ラジオの売り方(11)~経営者の質を問う

ラジオの売り方の11回目、今回は経営者、すなわちラジオ局の社長の質を問うという形で話をすすめたいと思います。

私が愛読させていただいているメルマガに、村上龍さん編集ののJMM [Japan Mail Media]というのがあります。
5/6発行分の中で、経済評論家の津田栄さんが衰退する企業の話をしておられるのですが、それがラジオ局にも適用できる気がしましたので、まずそれを引用してみたいと思います。

停滞、あるいは衰退しようとしている企業は、自ら抱えている問題が見えていないか、その問題が見えたとしてもそれを解決できないために、停滞もしくは衰退に直面しているのではないでしょうか。
(中略)
停滞あるいは衰退しようとしている企業の根本的な問題はどこにあるかと言えば、人にあるといえます。
すなわち、企業の社長などのトップをはじめとする経営陣にあるといえます。
なぜかと言えば、彼らは、往々にして、既存のものを維持し、守ろうとするためです。

さて、ラジオ局の経営者をここに当てはめてみましょう。
はたして今のラジオの問題点が見えておられるのでしょうか。
何故ラジオの売上が毎年落ちているのか、それが再び上向くことは可能なのかどうか、それに視点をあわせて今後の経営方針を語る社長がどれほどおられると思われますか。


津田氏は、「彼らは往々にして、既存のものを維持し守ろうとする」と書いておられます。
自分が社長になれたのは、既存の権威にのっかってきたからだ、その権威は守らないといけないとまず思われるのでしょう。
自分の出自は切れない、これが派閥や株主などの意向の上に乗っかったものであれば、尚更、前任者の方針を否定することは難しい、まずそんなところでしょう。
ラジオ局、経営者になるような人は、あまりとんがっていません。
いわゆるイノベータータイプではなく、極力マイナス点をつけられないように努力してきた人達が多そうです。
少しとんがっているかなと思うタイプは、大株主のぼんぼん。
目立つために何か色々手を出そうとしますが、周囲の番頭さんの監視の下にあるので、本質的な改革などには手をつけられず、言うならばオモチャ遊びの類の非生産的事業に金を使って自分の首を絞めたりしているようです。


たまに、何かやってくれそうに見える人材を別のところから連れてきて、社長の座につける例もありますが、正直、滅茶苦茶優秀な人は今のラジオ業界にはやってきません。
よそから来て、社長をやれといわれても、できることは今までやってきたことを少し改良するぐらいが関の山。
職人的気質の人が多いラジオ業界ですから、その気質に無頓着な人が改革をしようと思っても、厚い岩盤に跳ね返されるでしょう。
しかも業界は右肩下がり、その症状から病因に気づく能力を持つ人がそうそう見つかるはずもないのが現実ではないでしょうか。
津田氏はこう続けます。

成功している企業の多くは、トップの社長をはじめとする経営陣が、常に新しい価値を創造するために変化に挑戦し、改革を進めているのですから、それを参考にして、そのような経営陣に交代すればいいのです。
(中略)
現状は、現経営陣が言い訳をして、自分の地位から降りて改革に積極的で新しい価値を創造しようとする人たちに経営をまかせようとしないために、停滞や衰退から抜け出せないのです。

「新しい価値を創造し改革を進める」と言うのは簡単ですが、例えばラジオ業界ではそれが何を指すのか。
そんな類の話、社内の会議で誰か提起されていますか?
今年度、うちはこういう方針で経営する、そのための方策を各自考えてほしい、などという指示、ラジオ局の社長さんお出しになっていますか。
「今までのラジオの売り方では、限界があるのはもはや自明だ。私はラジオをこういうものに作り変える、その点で異論があるなら忌憚なく聞かせてくれ。別のプランがあるなら、提起してほしい。予算が必要ならそれも付記してくれ。とにかく、新しいビジネスモデルを考えないとラジオは持たない、私はそう信じている。みんなの意見はどうだ。」
これぐらいのことを言われたら、ちょっとは心が揺らがないでしょうか。
ああ、この人は本気で会社を何とかしようとしている、ラジオをもう一度復権させようとしている。
まるで今はやりの韓流の時代ドラマみたいに。
側近の重鎮が若き王の言葉を何とか握りつぶして、従来どおりの自分たちの既得権力を守ろうとするだろうが、はたして若い世代はそれにどう対決し、新しい社会をどう作っていくか。
それこそがイノベーターたちの夢、希望だと私は思うのです、苔のはえたラジオの売り方に固執する連中を駆逐することによって。


でも、ある人に言わせれば、今の若者、そんなことに夢も希望も見出してはいないらしいですね。
如何に、自分を今の社会状況に順応させるしか考えていないとか。
「何故、こんな安月給で働かされている私たちが、そんなことまで考えないといけないのですか。」という反論が返ってくるかもしれません。
私なんか、信じられませんけど。


だからでしょうか、今の経営者の人は投げやりにこういいます。
「新しい価値を創造できる奴と代われ?そんな人材がどこにいる。そりゃ、そんな積極的に会社を変えていこうという社員がいるなら、いつだって代わってやる、だけど、そんなのおりゃせんよ、結局おれが社員の尻拭いをせにゃならんのだ。世の中、そんなきれいごとは通らんのだよ。」
上がだめなら下もだめ・・・・。
また、そうだから業界は衰退して行っているのだということです。
新しいラジオの売り方はこうではないでしょうかと、私がこの欄に何度書いても、根本的な部分で社長の心には届かないのかもしれません。
ラジオ局の社長の皆さん、無理は言いませんから、少し最先端な知識に接する機会を増やされてはいかがでしょう。
そこにいて、同じ取り巻き、同じ業界人と評定を繰り返していても、落ちていくエネルギーを止めることはできません。
それを止めるために、どれだけの体力、知力、能力がいるか、少し想像してみることをお勧めしたいと思います。
以上、フロムさんの大きなお世話でした。



シリーズ ラジオの売り方(10)

ネットの巨大掲示板にラジオ番組のスポンサーを列挙しているスレッドがあり、色々重宝させてもらっています。
例えば、JFNの時報スポット・スポンサーはこうです。

([平日]5:00~9:00):マクドナルド
([平日]10:00~12:00):キリンフリー・ノンアルコール(キリンビール)
([平日]13:00~16:00):損保ジャパン
([平日]17:00~19:00):イエローハット
([平日]20:00~24:00):ヨドバシカメラ(偶数時間)、JVCケンウッド(奇数時間)
([土]・[日]5:00~13:00):ノンスポンサー
([土]・[日]14:00~24:00):スジャータ(めいらくグループ)
新規:-/-/-/-/JVCケンウッド/-/-
撤退:-/-/-/-/ルートインホテルズ/T-UP(TOYOTA[隔週])、meiji 明治(隔週)

これを書き込んだ人、業界人じゃないかと思ってしまいますね。
普通の人は、こういうまとまった表現できないんじゃないでしょうか。
私も、JFN加盟局の営業さんから、今セールス中の時報スポット情報をもらったりしますが、その時の説明の仕方とほぼ同じ。
多分、今も全時報スポットは某広告代理店が買いきっているはずなので、そこからの情報なのかもしれません。
時報スポットというのは、ラジオ局にとってはまあまあキラーコンテンツでもあったのですが、JFNも完売するというところまでは行かなくなっているんですね。
土日の午前帯もノンスポンサーって書いてあるし、いつのまにか夜の0時から朝の5時までは時報スポット表記がなくなっているし。
引き合いのある時間帯も何となくわかりますね、平日の朝から夕方までがラジオタイムということのようです。


この掲示板には、過去のラジオ出稿スポンサーも紹介されています。
こちらは、オールナイトニッポンの1987年ごろのスポンサー

ブラザー工業、ポッカコーヒー(ポッカコーポレーション)、キャニオンレコード(現:ポニーキャニオン)、スズキ自動車(現:SUZUKI)、ブルボン、白泉社、メガネスーパー、東京デザイナー学院・東京写真専門学校(現:東京ビジュアルアーツ)、角川書店グループ、アサヒビール。
マルハ大洋漁業(→マルハ、現:マルハニチロ食品)、KKベストセラーズ、BVDフジボウ(現:富士紡HD)、早稲田ゼミナール、全国農協中央会(現:JA全中)、スクウェア(現:スクウェア・エニックス)月星化成(現:ムーンスター)、永谷園

やはり、若者を意識したクライアントが多いですね。
業種も多種多様ですし。


そして、こちらが最近のオールナイトニッポンのスポンサー。

ブルボン、ALPINE、JAバンク、SONIC GROOVE(avex)
明星食品、meiji 明治

他にもローカルスポンサーの出稿はあると思いますが、やはりさびしいものがありますね。


ラジオ局のワイド番組のスポンサー、野球中継のスポンサーもやはり相当減っているみたいです。
目立つのはパチンコチェーンですね。
キー局や準キー局のTVでは、パチンコメーカーはOKでもパチンコチェーンは謝絶の局が多いので、その分、ラジオに流れ込んでいるという印象でしょうか。
以下、ある日の大阪のプロ野球中継のスポンサーです。

ABC:出光興産、日本フルハップ、マルエス、久光製薬、JAC(車買取)、マイコーポレーション、ミクちゃんアリーナ(パチンコ)、信貴霊苑、アキュラホーム、黄桜、三菱電機ビルテクノサービス
MBS:延田グループ(パチンコ)、福屋工務店、モナコグループ(パチンコ)、アサヒペン、白鶴酒造、愛昇殿、JTB旅物語

大阪は阪神ファンのクライアントの方も多いので、おつきあいスポットという面もあるのでしょうが、しかし、昔ほど売れているという感じはありませんね。


大阪と比べて巨人を擁する関東地区は、さらに野球中継のクライアントニーズが減っている気がします。
たまにTBSの中継を聞いたりするのですが、ほとんどが番宣スポットだったりして、大丈夫なのかなと心配になることもあります。
巨人戦のスポット枠なんか、球場への招待つきで飛ぶように売れていた時代があったのに、今は本当に隔世の感がありますね。


ということで、かつてラジオの売上に貢献していた枠が毎年毎年売れなくなっていくのに、それを補う売上に目処が立たなくなっているのが現状というわけでしょう。
ラジオショッピング、レスポンス広告、例えリスナーから不評であろうと続けざるをえない理由がこんなところにもあるのです。
パチンコチェーンのコマーシャルなんか流すなとか、ボートレースや競輪のスポットを流すなとか、リスナーからは色んな要望が届いても、それに応える体力はもはやラジオにはない。
とにかく惰性のまま、あるいは慣性の法則にしたがって、今のままを続けるしかない、極端に言えばそんな状態ではないかと思うのですが、皆さんのご意見はどうでしょうか。
ラジオの売り方、少しぶれながらも、しばらく続けるつもりです。