カテゴリー : 2012年 7月31日

シリーズ 東京一極集中の功罪~マスコミ編(9)

地方の情報は一度東京のフィルターを通さないと全国に流れない。
多分、日本のマスコミはそういう形で全国ネット体制を作ってきたのだと思います。
というか、東京のマスコミに載せることがまず第一。
東京人の知らないことは、存在しないも同然と言う人さえいます。
東京人の知っていることは、全国の人間が知っているものと考えていいとも言います。
知らないの?田舎ものだね~。
完全に人をバカにしたような言い方が、この国では通用するんじゃないですか。
地方人、特に東京にバカにされたくない思っている人は、知らないことは許されない、東京で流れたニュース、情報は地方に住んでいても知っていないといけないという強迫観念を持っているような気もします。


東京にどっぷりつかったマスコミ人(地方出身者)に、私は色んなことを言われてきました。
例えば、全国ネット番組の視聴率。
広告業界的には、視聴率は東京だけでいい、それで全国を考えてさしつかえないと。
例えば、大阪だけ10%そこそこでも、東京が20%を取っていれば万々歳なのだと。
東京で話題になればいいのです、大阪ではあまり知られていなくても、そんなものは無視していい。
全国の人が知っているのだ、大阪人が少々知らなくても、大勢に影響はない。


こんな発想するの、多分東京人だけですよ。
最初から大阪を無視するのなら別です。
でも、それなら全国ネットにする必要ない、大阪だけ外していればいいのです。
全国ネットなのだから、当然大阪を入れる、なのに、視聴率のことは東京で十分だというのはどういう発想でしょうか。
東京から流せば、無条件で全国に伝わるという神話が存在するのでしょう。
前にも例に出しましたが、特番で番組対抗のバラエティを作る時、何故か東京ローカルの番組まで出演したりします。
私がプロデューサーなら、全国ネットで東京ローカルの番組を流しても、東京以外の人はシンパシーを持てないし、中味をとりあげてもピンと来ない、だからリストアップから外そうと提案するでしょう。
でも、そんな斟酌、東京人は多分しないでしょう。
東京ローカルは単なる地方のローカル番組ではない。
全国に通用するコンテンツなのだ、また地方の視聴者も見たがるはずだ、何しろこれは東京の人気番組なのだ、知らなかったら、この番組を見て勉強すればいいのだ、と言わんばかり。


私、細かいことにこだわっているつもりはないですよ。
それならそれでいいんです、私も今や東京在住24年で、そう考える制作者が存在することに拘泥はしません。
ただ、この発想、ひょっとしたらおかしくないか?と、ちらっとでも頭をかすめてほしいと思うわけです。
逆の立場に立ったら、何かわけのわからないものを押し付けられているのではないか、そういう感想を持ったりしませんか。


平成元年に始まった番組、いかすバンド天国(通称イカ天)、あの番組も完全な全国ネット番組ではありません。
大阪でも、全く放送されておらず、イカ天と言ってもほとんどの人は知りませんでした。
でも音楽業界的にはもりあがったため、イカ天バンドというのが次々に生まれ、全国的な話題になりました。
東京にいて、支社制作番組を量産していた私は、当然ながらイカ天バンドをからませて番組を作ったりしたのですが、本社からは、イカ天なんか知らないよ、知っていて当然というスタンスで番組作るな、とクレームを受けたりしました。
また、私がプロデュースして大阪城ホールで「ロックサーキットin大阪城ホール」というバンド総出演のイベントを実施したのですが、イカ天系のバンドはほとんど受けていませんでした。
8000人のお客さんがいたのですが、大トリのカブキロックスが出てきたときには1000人ほどに減っていました。
リーダーの氏神一番は大阪出身で当日はご両親もお見えになっていたのに、大阪のファンはほとんど帰ってしまったのです。
多分、イカ天から出てきたバンドに対し、あまりいい感情を持っていないというか、そんな大阪で流れていない番組でブレイクしたからといって、何のシンパシーも感じていませんよという意思表示だったのかもしれません。


大阪本社の人間からも言われました。
「大阪の客なめたらあかんよ、何でも東京でブッキングして、それ持ってきたら大阪人も納得するだろうと思ったら大間違いや。」
弁解に聞こえるかもしれませんが、そんなこと私は百も承知だったのです。
だから、イカ天色が出ないように色々努力し、プロデュースしたのに、イベント実施1ヶ月まえにそれを土台からひっくり返されるような事件が起きたのです。


実は、このイベント、あるバンドの大阪凱旋公演というのがメインでした。
そのバンドの名前は、ラフィン・ノーズ
大阪で結成された伝説のパンクバンドです。
それが1987年の日比谷野音でステージ前でファンが将棋倒しになり、死者まで出ました。
おかげで、彼らはしばらく謹慎。
そして、1989年になって活動再開となり、じゃあ大阪凱旋公演を大阪城ホールでやろう、きっと大阪のファンは待っているはずだと考え、提案した物件だったのです。
だから、当日のファンの半分以上はラフィンのファンになる、それにイカ天バンドも加えれば、そこそこ盛り上ったライブになるだろうと考えたのです。l


でも、その夢は打ち砕かれました。
イベントを1ヶ月後に控えたある夜、居酒屋で人と談笑しながら、NHKのニュースを見ているといきなり衝撃的なテロップが。
「ロックバンドのメンバー、新潟で暴行事件」
ラフィン・ノーズのギタリストが新潟の飲食店で酒に酔って、居合わせた客を殴り、暴行の疑いで逮捕されました・・・。
ガーン!です。
何てコトをしてくれるんだ~、お前たちの晴れの舞台が台無しじゃないか~。
考えていたこと、すべてパーです。
クライアントにも出演中止を伝えないといけないし、メンバーをもう一度組みなおさないといけない。
ほんと、このイベントはラフィンのために考えたんだ、その主役がいなくなって、ほんと何てことしてくれたんだ、客を殴るんだったら、イベントが終わってからにしてくれ~。


以上、言い訳でした。
今も思い出すたび、青くなるできことでした・・・。
ということで、話がそれてしまいましたが、東京一極集中の話、気をとりなおして又次回。