カテゴリー : 2013年 3月

デジタルラジオはどうなる~V-Low政策を見直し?(日本経済新聞編)

15日、16日と日本経済新聞がデジタルラジオに関する記事を掲載しました。
それぞれ、「エフエム東京、13年度にデジタルラジオ開始 1年前倒し CD並みの高音質 」「 ラジオ全面デジタル化断念 電波の割当先見直し 総務省 」というタイトルです。
ネットには全文掲載されていませんが、その見出しの部分を引用しつつ、その後の記事の内容を要約してみたいと思います。
何となく、これからどうなるかが見えてくるはずです。
まず15日の記事。

エフエム東京は14日、2013年度内に高音質が特徴のV―Lowマルチメディア放送(デジタルラジオ)の本放送を始める方針を明らかにした。日本民間放送連盟が加盟社全体として開始を目指していた14年度より1年前倒しする。音声以外にも画像や文字を流せる特長を生かし新たなビジネスチャンスを探る。

さて、日本経済新聞の記者にどなたが明らかにされたのかは知りませんが、日本経済新聞らしい見事なとばし記事だなという感想を持ちました。でも、実際はどうなのでしょう。


この後の記事は、TFMが今月28日から電通やホンダ、放送局など60社を集め、マルチ放送ビジネスフォーラム始めると書き、車載端末や電子看板(デジタルサイネージのことか)に広告や災害情報を流す事業を想定する、とあります。
そして、「昨年から福岡で実施している実証実験と合わせて検証を進め、14年3月までの本放送開始を目指して、総務省に電波の割り当てを要請する。」と結んでいます。
TFMの意向がきわめてよくわかる内容になっていますね。


1年前倒しで、13年度中にデジタルラジオを開始する、これはもう決めました。だから、総務省は既定方針通り速やかに免許を私どもに下ろして下さい、ということでしょうか。
何か、記事の読みようによっては、もうこれで決まりといわんばかりの論調ですね。


で、その次の日、今度はちょっと昨日と話が違うんじゃない?という記事が掲載されます。

総務省と放送業界はラジオ放送の全面的なデジタル化を断念した。ラジオ局の設備投資負担が大きいと判断した。テレビのアナログ放送からデジタル放送への移行で空いた周波数帯の割当先が宙に浮く形になる。総務省はAM放送をしているラジオ局にFM放送も認める方向で検討に入った。
放送局でつくる日本民間放送連盟は21日に理事会を開き、ラジオ業界全体でデジタル放送に一斉参入するという従来の方針を転換する。希望する局が参入できるよう総務省に働きかける。

今回は昨日より文章も長い。
以下、ネットでは読めない部分を要約しながら書いてみます。
総務省は、90~108MHzの周波数帯域を全てラジオのデジタル放送に使う方針だったが、参入者が少ないのでデジタルラジオで全域を埋めるのが困難と考え、早期に新たな用途を考え、電波利用料を得られるようにする。(そっちかい、という感じですね。)
「FMによるANの補完放送に割り当てるのが最有力だ」そうです。
「(AMは)送信所に広大な面積が必要なため、海辺や川辺といった低地に多く、浸水で放送が途絶える懸念がある。送信所を高台に設けやすく雑音も少ないFMで同じ内容を流し、避難場所や生活支援などの情報を安定的に放送できる体制を作る」と続きます。
「放送ネットワークの強靭化に関する検討会」の意向が全面的に出てきていますね。


「現行のFMには76~90MHzが割り当てられ、帯域のほぼ全体が使用中だ。」と続くのですが、ここでオッとなりますね。
首都圏のAMが今のFM帯域に移行可能という記事をのせたマスコミがありましたが、「ほぼ使用中」とここでは指摘しています。
確かに、現実にはこの書き方が一番あっている気がします。
そして、AM局がFM放送を始めるには新たな帯域が必要、だからV-Lowの帯域が必要となるのですが、じゃあ最初にあったデジタル放送を希望する局が参入できるよう総務省に働きかける、という話はどうなるのでしょう。
「総務省はデジタル放送やFMによる補完放送をめぐるラジオ各局の意向をこれから調査する。(中略)年内をめどに帯域の使い道を決める方針だ」でこの記事は終わっています。


15日と16日の記事、何かニュアンスが違うと思いませんか?思うでしょう。
ニュースソースの違いなんでしょうね、前者はTFMの関係者、後者はAMの関係者かな。
後者を総務省からのリークだなんて思う人がいるかもしれないけど、単なる伝聞をAM関係者の意向にそって再構成しただけではとも考えられそうです。
今からラジオ局の意向調査って、何か結論のためにアリバイ作りを始めるのかと勘繰られかねませんからね。
ということで、何もオーソライズはされていません、民放ラジオの2つの動きが露わになっただけと言えそうです。
しかし、前者の記事に電通とホンダの名前が出てきましたが、名前出された方も迷惑じゃないでしょうか、実際にマルチメディア放送に参画すると正式に決定したわけでもないでしょうし。
ということで、気になる日本経済新聞の記事をとりあげました。
まだまだ、新聞や通信社を中心に、V-Lowに関する情報が出てきそうです。
引き続き、注視していこうと思っています。



デジタルラジオはどうなる~V-Low政策を見直し?(スピンアウト編)

さて、AMのFM化、デジタルラジオの問題、にわかにマスコミが記事にし始めました。
でも、どこか今一つ当を得ていない感じがぬぐえません。
とりあえず、昨日今日の記事をまとめてみました。


昨日あったニッポン放送の社長会見の記事。
デジタルラジオから撤退、アナログFMでという話をされたみたいで、まず共同通信はこういう記事を配信。

「都市化に伴って深刻化する受信障害を解消するため、FM放送への参入を検討。(中略)同局は、FM局への完全移行ではなく、AMの番組をFMで同時に流すことを想定。」

ついで読売新聞の記事。

「AM放送を続けながら、FM放送を活用する考え(中略)村山社長は『デジタル化でなく、FMの活用でいく』と述べた。」

次に毎日新聞。

「ラジオのデジタル化に後ろ向きな姿勢。日本民間放送連盟のラジオ委員会は近く総務省へ出す意見書をまとめているが、在京AM局首脳の発言で足並みの乱れが鮮明化。(中略)村山社長は『今後もAMをやめるわけではないが、難聴と雑音という課題がある。FMを活用して新たなリスナーを獲得していきたい』と語った。

そして時事通信。

「現行のAM放送と並行し、より音質の良いFMの同時放送を検討する考え。
 村山社長は「今後もAM放送に変わりはない」と語り、完全なFM化は否定した。また、文字や映像なども配信できる高機能のデジタルラジオへの移行は当面見送る方針だ。

最後に日本経済新聞。

「難聴取対策にもなるV―Lowマルチメディア放送(デジタルラジオ)への参入を見送る、比較的低コストで聴きやすいFM放送の利用でリスナーの獲得を目指す。村山社長は『難聴取は経営基盤に関わる問題』と強調し、総務省にFM波の割り当てを求めていく方針を示した。 総務省も先月立ち上げた「放送ネットワークの強靱(きょうじん)化に関する検討会」で、災害時の電波補完策としてFM同時放送を話し合う方針。ただ既存のFM局の反発なども予想され、先行きは不透明だ。」 



個人的な感想ですが、何と勝手なことを言っているなあ、ですか。
AM波はキープ、補完のためにFM波を寄こせ、マルチメディア放送にはもはや興味なし。
で、新しくもらった周波数で新しい客を開拓、だそうです。
この考え方、著しくバランスを欠いているというか、自分たちさえ良ければそれでいいというエゴさえ感じてしまいます。
そりゃ、そうでしょう。
今までのリスナーはそのまま、新たにFMで新しいリスナーを開拓するといえば聞こえがいいけど、既存のFM局が開拓した市場もついでに頂戴したいと言っているようなもの。
じゃあ、その代わりにニッポン放送は何を代償として差し出すのでしょう。
大体、いつのまにかJ-WAVEの筆頭株主になっているニッポン放送ですから、このままだとAM、FMの主要な電波を占有しかねないのではという危惧さえ生まれかねません。


今一つ当を得ていないと私は書きましたが、とにかくFM波を既存のAM局に割り当てるにしても、どうやるのかのツッコミ不足なのです。
首都圏は従来のFM波帯でOKなんて書く新聞社もありましたが、それ誰から取材したのですか?勉強してその結論に達したとしたら、認識不足はなはだしい。
サービスエリアをどうするのでしょう。
FMは県域放送という括りをどうするのでしょう。
一度、すべてを白紙に戻してというのなら理解できます。
しかし、そうなったら大ごとで、既存のFM局は大迷惑です。
NHK-FMの問題もありますし、電波のスピルオーバーの問題もあります。
とにかく、空いているから認可するというほど簡単な話ではありません。
優先的に既存AM局に認可する理由なんてどこにありましょう。(ネットワークの強靭化のためで済む話じゃない)


さて、そういうところで、今日の朝日新聞のコラム「記事有論」です。
編集委員の方が「AMラジオ 大都市圏のFM化を急げ」というコラムを書いておられますが、何かツッコミ弱いなあと思いました。
ネットでは全文読めないので、その一部を引用させてもらいます。
「ラジオファンとして言わせてもらえばもっと早くFM化を選択してもよかった」
いえ、もっと早くと言っても、周波数がありません。
何か、ずっと帯域が空いていたとでもお思いですか?
「いざという時、携帯端末で聴ければありがたい。この点でもAMよりFMに軍配があがる。」
携帯でラジオを聴いている人など少数でしょう、radikoならまだしも。
「AM離れは進み、経営は厳しい。一方でFMは若者に聴かれ、収入も上向きというのが民放連の予想だ。」
FMが若者に聴かれる?そうですか~?収入も上向く?スポットは減る一方なのに?
「V-Low帯でデジタルを進めてきた、と叫びたい局もあろう。が、国の支援はなく、NHKも参加せずというのでは、負担に耐えられる局は限られる。」
いきなり、何を言い出すの?という感じ。それを言うなら前から問題を提起するべきだったのでは。
で、AMの道には3つあり、一つはAMのまま、二つはデジタル化、三つはFM化と言うにあたっては、何か話がグダグダになっているという印象さえある。
AMの経営が苦しければやめればいいのである。
その電波を次の人に渡せばいいのである。
何故、既得権化するのだ。
それは国が何とかしてあげるべきことなのか、自分たちで生き延びる道を考えればよいことで、マスコミが中途半端な情報をまきちらして国民を洗脳するようなことだろうか。


ということで、少し辛口にマスコミの論調を取り上げてみました。
繰り返しますが、言っておられることは理解できても、根本的な部分がわかっていないのではとどうしても思ってしまいます。
今のところ、これは鋭いと思える論調には出会っておりません。
それが今のマスコミの限界なのでしょうか。
皆さんのご意見など、また聞かせてくださいね。



デジタルラジオはどうなる~V-Low政策を見直し?(番外編)

皆さん、色々とご意見、コメントなどを寄せていただきありがとうございます。
大変参考になりました。
今後ともよろしくお願いいたします。


さて、今回はV-Lowシリーズの番外編というか、エフエム東京が主催する「マルチメディア放送ビジネスフォーラム」に関する肩の凝らない話をご紹介したいと思います。
「V-LOW覚醒」と題されたこのサイトですが、そこに掲載されている「マルチメディア放送ビジネスフォーラム第6期再始動 」というyoutube映像、なかなか楽しいので興味のある方はご覧ください。
TFMの担当の方と鷹の爪団でおなじみのDLE(Dream Link Entertainment)のコラボによる作品です。


この映像、元々は2009年に「妖怪人間ムラング」と題されてスタートしたもので、その第1話は「お仕事ゲ〜〜ット!」 です。
作者は、イラストレーターのほりたみわさん。
今回の再始動編の前に4作ほどが作られ、「ほりたみわのお仕事」というサイトにすべて紹介されています。
鷹の爪団の姉妹編みたいなものと考えていいのかもしれません、2009年にTFMに2万5千円で依頼され、マルチメディア放送普及のための戦士として活躍を始めたようです。
第2話では、各地に作ったマルチメディア放送会社が連合して新しい放送を始めるんだというプロパガンダを発信、第3話では、それまでV-Low帯を使っていたNHKに対し、送信設備をそのままマルチメディア放送に譲渡しろとアピール。(もしかしたら、NHKも機材を持って参加してけろと懇願したのかも)
第4話では、「マルチメディア放送で私たちの生活はどう変わるのか 」とタイトルし、正直ちょっとピントはずれな説明がされています。


ま、ちょっと冗談ぽい形での紹介が多い「妖怪人間ムラング」、よくこんな映像を作ることをTFMが許したものだと思いますが、ま、かえって許容力のある会社だなと私は評価してしまいますけどね。(上層部が知らなかっただけかもしれないけれど。)
2009年に始めて3年間もほっておいたエフエム東京という表現までしているので、「誰がほっておいたんだ、身内が勝手なこと言うな」と激怒する人もいただろうに、あまり問題にもならずにマルチメディア放送ビジネスフォーラムのサイトにでーんと置いてあるんですからね。


ま、それはともかく、先ほども言いましたが、こういうシャレっ気のある映像は私は大好きなので、今後もこの線でV-Lowマルチメディア放送のプロモーションを続けられたらいいのではないかと思う次第です。


少し、残念なこと、せっかく作ったのにyoutubeでカウントされている再生回数が少なすぎること。
ほとんど見られていない、ま、それゆえ、今も見つかることなく生き続けてこれたのかもしれませんがね。