カテゴリー : 2013年 3月

デジタルラジオはどうなる~V-Low政策を見直し?(その5)

V-Low帯の話、簡単にまとめました。
総務省は、従来マルチメディア放送に割り当てるとしていたV-Low帯を、アナログFM帯として使う可能性もありという姿勢を見せ始めました。
もちろん、それを直接的に言及はしていませんが、「放送ネットワークの強靭化に関する検討会」の発足とともに、それらしい情報がマスコミに漏れだし始めているようです。


今の所、前面に出ているのがAM局の救済。
多分、当分黒字体質にはならないだろうという予想が民放連から出され、次の送信機の更新が財政的にできないというコメントが流れ、この苦境を脱するためには、アナログFM局にするのが一番いい、そのためにV-Low帯を使おう、と。
わからないでもないです。
だいたい、今売られているラジオのほとんどは76~108Mhzをカバーしていて、1ch~3CHのテレビの音声を聞くことができていました。
つまり、アナログFMならそのまま聞けるのです。
デジタルラジオのような新しい端末を新たに購入する必要はありません。


で、すぐに切り替えるのは問題だから、しばらくはサイマルでなんて言っていますが、AMもFMも放送するなんて無駄はどの局も本当はしたくないはず。
そのあたり、総務省に調整してもらって、一番いい選択をしたいと思っているでしょう。
AMとしての電波利権も簡単には手放したくないでしょうし、そのあたりは思惑が錯綜しているのでしょうが、既存のFM局は、ああそうですかと簡単にOKするはずもなし。
おれたちにも何か寄こせと言うか、それともエフエム東京のように、マルチメディア放送を既定の方針どおりに認可せよと要求するか。
マルチメディア放送にはコミュニティFMも関わりはじめているので、このあたりの利害の調整は相当難しそうです。


だいたい、AM局のサイマルはマルチメディア放送でできるではないかという声もありますし、何故アナログFMなのだという疑問は繰り返されるでしょうね。
さて、私の古巣のFM局はどうするのだろう。
JFNと歩調を合わせてはいますが、基本的に冷ややかというか、それほど必死にマルチメディア放送を追求しているようには見えません。
今のFM放送とマルチメディア放送は別物という意識が強い、radikoもうまくビジネス化できていないのに、マルチメディア放送で何ができるかなど、考えも及ばないというのが本音じゃないでしょうか。
そのあたり、TFMはベンチャー的なビジネスに昔から熱心ですよね。
PCM音楽放送(ミュージックバード)、BSラジオ、MX-TV、ジグノシステムズ等々。
ああいった発想はFM大阪には昔からないですね。
きわめて保守的というか、金のかかる新しいことには手を出さないというか。
私がミュージックバードを辞めた時にも、私の後任を出そうとはしませんでしたし、その後の増資にも応じませんでした。
今は、社長がTFMから派遣されていますが、減少する一方の売上状況を立て直すのに精いっぱいで、マルチメディア放送に全力で取り組むなどという余裕はないでしょうね。


さて、これからどんな回答が総務省から出てくるのでしょうか。
大手の広告代理店は、アナログFM化かマルチメディア放送か、どちらが自分たちにプラスすると判断するのか。
残念ながら、それに関する見解はほとんど出されていません。
多分、どちらもさほど自分たちの利益につながらないと考えているのかもしれません。
高みの見物、実際それどころじゃないでしょうからね、広告の世界も。
ということで、いきなり持ち出されたAMのアナログFM化、新しい情報があれば又紹介しますが、ひとまずこのシリーズ、今回で中締めということで。



デジタルラジオはどうなる~V-Low政策を見直し?(その4)

AMのFM化、それもV-Low帯を使うという話に、え~!と思った私ですが、昨日の毎日新聞の記事はそれを少しトーンダウンさせていました。

AMの送信所は低地にあるが、例えば関東ならアナログのままFMに移行して東京タワーから送信すれば音質は改善し、送信所の更新にかかるコストも削減できる。在京局などはV−Lowではなく、現行のFM帯域の隙間(すきま)が利用できる見込みで、そうなればリスナーは端末を買い替える必要はない。ニッポン放送幹部は「FMは選択肢の一つ。民放のとりまとめにFM化が加わるかどうかが大事」と語る。

AMをFMにしても、現行の76~90MHzがそのまま使えるとこの記事は書いているようです。
つまり、V-Low帯はいらないとこの記者は判断しているのでしょう。
そうですね、東京地区は85~90MHz帯は、NHKの1chへの干渉を押さえるために使っていませんでした。
その<隙間>に本当に収容できるのか、私は絶対大丈夫なんて言えませんが、それ以上にもし収容できたとしても、関西地区はどうするのでしょう。
関西は、NHKは2chでした。
それゆえ、それほど干渉を考えなくていいため、神戸のKISS-FMは89.9MHzで放送をしています。
早い話、関西では85~90Mhz帯は相当使われているのが実態です。
とても、関西のAM局を収容するのは不可能、じゃあ、それを総務省はほっとくのかです。


ということで、東京だけ既存のFM帯を使ってAMをFM化するなんてことはありえません。
問題はV-Low帯をどうするかです、近視眼的な答えを出してはいけません。
毎日新聞の記者はわかっているのか、それともあえてこういう記事を出したのか。
それは最後にTFMの関係者の取材をしていることからも類推できるかもしれません。

TOKYO FMの藤勝之取締役は「デジタル化で放送サービスは進化し、商機も広がる。アナログは当面続けながら、来年3月末から、まず大都市圏でデジタル放送を始めたい」と話している。

つまり、V-Lowはそのままマルチメディア放送に使うという方針を堅持しているということです。
何しろ、TFM主催の「マルチメディア放送ビジネスフォーラム」はこの3/28に結成総会を開き、その活動期間は3月31日と既に発表しているのです。
それが終われば、いよいよマルチメディア放送スタートという絵を描き、その線で今後も進めるしかないTFMなのですから、今さらV-Low帯をAM局のアナログFM化に手を貸すはずもありません。
アナログFMは終わりと宣言しているのが、TFMだと考えてよいでしょう。
そんなものを存続させるなんて、ありえない。
まあ、そう代弁してみたのですが、違っているでしょうか?


デジタルラジオはどうなる~V-Low政策を見直し?(その3)

さて、総務省の「放送ネットワークの強靭化に関する検討会」なるものが2/27に開催されて以来、ラジオ業界は静かな混乱状況に陥っているようです。
AM局をFM化すると言っても、色々問題があります。
従来のFM局はInterFMなどの外国語放送を除いて、県域での認可。
広域局として認可されているAM局とはサービスエリアが違います。(実態は横に置いといて)
で、従来のサービスエリアを維持しようと思えば、各県にFM局を置かないといけない。
複数局を持つことができるという話は既に法改正によって認められています。
でも、TBSはテレビ局が親局ですから、これは認められません。
近畿広域圏の朝日放送、毎日放送も同じです。
さて、総務省はこの問題をどう処理するか。
ラジオを災害時に利用するというお題目で、従来の放送行政を変えようとしているようですが、答えを出すのはなかなか簡単ではありません。


従来の県域基準をやめ、広域を認めるとなると地方の局はどうなるのか。
既にテレビ局がそうなっているのだから良いではないかという声もあるでしょうが、大体テレビだって地方局がありすぎるわけですから、それを広域化して再編した方がベターだとも思えますし。
早い話、今回の問題は放送局のあり方を根本的に見直すきっかけになるわけで、いいとこ取りするわけにはいかないのじゃないかと私は思うのですが。


だいたい、今回のAMのFM化は、既存のFM局からするとノットウェルカムであることは間違いありません。
FM波を使って独占的に商売してきたFM局の市場にに、もっと資本基盤が強固なライバル局が参入してくるわけですから。
災害時の為だなんて言われて、説得されるFM局などないでしょう。
エフエム東京からしたら、何を今さら世迷いごとをというのが本音だと思いますよ。
V-Low帯をFMアナログ放送に使う、じゃあマルチメディア放送に割り当てると言っていた従来の国の方針はどうするのだと抗議したくなるのは当然でしょう。
で、一部の人たちが言いはじめた、マルチメディア放送はV-high帯でどうぞ、まだ20セグメント空いてますよ、なんてのは噴飯ものではないでしょうか。
だいたい、V-highは全国放送用でしょう。
エフエム東京からしたら、JFNというネットワークがまるで役に立たなくなるではないかという気分になるのは当然でしょう。


TFMには、ミュージックバードの実質的失敗という教訓もありますし、BSラジオもうまく行きませんでした。
(資本参加していたモバホ!もあの体たらくでしたし。)
ただただV-high帯をdocomoと共有して下さいでは済まないだろうというのが私の感想です。
国の事業として大々的に、そして地方のFM局も巻き込み、多くのメーカー、事業社を巻き込んで、新しいメディアを創造すると思うから、FM波を返上してもマルチメディア放送に取り組むと宣言していたのではなかったでしょうか。
今さらV-highじゃ色あせるのは自明だと思います。

検討会では、1-3ch(90-108MHz)を「AMからFMへの移転」に充て、マルチメディア放送を希望する社には、
既にmmbiが「NOTTV」を展開し、インフラが整っているV-High帯(205-222MHz)に参入してもらう案が検討される見通しだ。
前者はAMラジオの救済、後者は自己責任によるデジタル化という考え方である。

AMラジオを救済できても、既存のFM局への被害はどうするのか、自己責任ってあんた!?
次の展開、さてどうなるのか、気になるところではありますね。