カテゴリー : 2013年 7月

V-Lowマルチメディア放送とAMのFM化

昨日、総務省から「 V-Low マルチメディア放送及び放送ネットワークの強靭化に係る周波数の割当て・制度整備に関する基本的方針」が発表された。
V-Low帯の利用方針は、この間二転三転したが、ほぼ想定の範囲内の落とし所でオーソライズされそうである。
今回の方針を簡単にまとめるとほぼ次のようになるだろうか。


VHF帯の1~3CH、すなわち90~108MHzを3分割。
90~95MHzは、AMのFM化に利用(当面、中継局扱いのようだが)。余裕があればコミュニティFMにも割り当て。
95~99MHzはガードバンド的な予備帯として置いておく。ただし、マルチメディア放送用として使うこともありうる。
99~108MHzは各ブロックのマルチメディア放送用、9MHzを2分割し、隣接するブロックと混信しないよう全国に配置する。この場合、各ブロック4.5MHz、9セグメントが利用できることになる。
C詳しくはITProの記事も参照してほしい。)


さて、今回の裁定、大岡裁きに匹敵するようなものになっているのだろうか。
日本の役所に任せておくと、こうならざるを得ない結果というのが私の印象だ。
とにかく放送業界の2つの勢力、AM局とFM局のどちらの顔も立てるとなると、そうせざるをえない、でも本当にこんな電波割当は正しいのか、そう慨嘆している人も多そうだ。
電波の有効利用という考え方が、どうしても二の次になった、それよりも既に走りはじめている両勢力の動きにどう電波をあてはめるかが優先されてしまったと言える。
放送人は、大体こうなるだろうとわかっていた、だから、そのあたりの駆引きをこの間続けながら、とにかく利権だけは確保できそうだ、ま、仕方ないだろうという精神状態にあるのではないだろうか。


とはいえ、これは単なるスタートにすぎない。
電波割当が決まりそうだとはいえ、それをどう使うか、そこに絶対的なビジネスモデルがあるわけではない。
AMをFM化したところで、新しい需要が生まれるわけではない。
具体的なユーザーのニーズについては、誰もグランドデザインを描けていない、多分こうだろうとツギハギ作業を続けているだけである。
新しく、参入しようとしている企業もあるが、多分疑心暗鬼な面を今も捨てきれていないはず。
「でさ、実際にそうしたら、どんな得があるの、我々に。」
それへの具体的な答、ありますか?
大丈夫です、やれば何とかなります、そんな放送局側の気分だけ伝わってくるようだが。


言い換えると、こうなる。
大丈夫です、皆さんに使い方を教えますから、その答えを皆さん方が持ってきてください。
皆で考えれば、マルチメディア放送は絶対に成功します。
お金もそんなにはかかりません、プランを考えるのは皆さんです。
私たちは、蓄積された放送のノーハウで皆さんを手伝います。
電波の利用価値は無限大です。
ぜひ、マルチメディア放送の世界にご参加ください。


放送のハードとソフトは用意してあるから、コンテンツを持ってこい、使用料をそえて。
そんなビジネスモデルに見えかねない、でもそれじゃ続かないだろう。
サービスを始めれば、はじけるように利益がほとばしる、そんな絵を描けるのだろうか。
多分、マルチメディア放送を使って、新しいビジネスモデルを開発する優秀な人たちがどここからやってきる可能性はなくはない。
しかし、今の放送業界の中から、そんな人が出てくるとはとても思えない。
モバホの失敗、CS-PCM放送の失敗、BSラジオの失敗、ついでにセントギガの失敗。
そして、V-highを使った「NOTTV」の停滞。
失敗から、何を放送業界は教訓化しただろうか。
ラジオそのものは、今や下方スパイラルから抜け出せない。
目先を変えるだけでは、ニーズの波は生まれない。
何かあるはずでは未来は開けない。

本当、何かあると思っているのだろうか、業界の皆さんは。



近況その他

いつのまにか7月の半ば、そして猛暑。
そろそろ何か書かないとと思って、材料を集めがてら、湊町の古巣の放送局へ。
歓迎されているのかどうかわからないが、何人かと世間話。
半蔵門に握られてしまった人事権のこと、伸びない業績、マンパワー不足。
でも、よくやっている部署もあるし、決して暗い未来ばかりではないと語る連中も。
一度に色んなことを聞かされて、消化不良気味の私。
もう少し整理しなおしてて、後日このブログで取り上げるつもり。
しかし、毎日本当に暑いなあ。


最近、気になっていること。
先日発表されたNOTTVの決算、何と215億の赤字だと。
NOTTVを運営する株式会社mmbiの第7期決算公告、私はこちらのブログで見ることができた。
色々感じることがあったのだが、まず今期が7期目だったこと。
そうか、2006年に既に会社をスタートさせていたのか。
当初は、「株式会社フジテレビジョン・伊藤忠商事株式会社・株式会社エヌティティドコモ・株式会社スカイパーフェクトコミュニケーションズ・株式会社ニッポン放送」の参画で発足。
その後、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、電通などが加わって行ったようだ。


最初の報道資料にはこうある。

日本におけるデジタル放送の発展のため、日本が開発した地上デジタル放送方式であるISDB-T方式を用いた新しいマルチメディア・サービスを研究し、地上アナログテレビ放送終了後の帯域において、同方式を用いたモバイル・マルチメディア放送に当該帯域が割り当てられるよう、その有用性をプロモーションすることを目的  (中略) 本帯域を有効に活用し、コンテンツ提供の多様化をはかり、国民の情報生活の向上に貢献する新しいマルチメディア・サービスの創生をめざす

そして、昨年4月スタートしたのがNOTTV。
初年度目標は100万契約達成だったが、結局6月までかかってしまったようだ。
今は120万を越えたぐらいとか。
ペイラインは500万契約、うわあ、まだ長いなあ。


NOTTVはNTTdocomoと一蓮托生、立派なNTTグループの一員。
NTTグループって、社員だけで10万人近くいるんじゃなかろうか。
それに家族がいて、関連企業があって、下請け業者がいて、一体、関係者ってどれぐらいいるんだろう。
それでいけば、100万人なんて簡単なはず。
後は、スマートフォンへの買い換えを促進させれば楽勝ではないか。
などと、多分docomo関係者は思ったのだろうなあ。
でもね、いくら関係者でも、日頃お世話になっていても要らないものは要らないんだよな。


多分、取引業者は大変だと思うよ。
月に420円、年間で5000円あまり。
それを100台分は契約させられる。
年間50万円ぐらい、当たり前だろう、なんて言われているのかな。
でも、ひかり回線だの、プロバイダ契約だの、日頃世話になっているのだから当然と言われて入らされているサービスは数知れず。
それに又こんなノルマまで。
もう、無理・・・・。


そういうわけで、NOTTV、笛吹けど踊らずで、低迷中というわけかなあ。
決算書で見ると、資本金あと170億しか残っていない。
次年度も215億の赤字を出せば、完全債務超過。
ま、今年は100万人を越えたのだから、50億は最低でも売上があるので、ギリギリセーフかもしれないが。
さて、どうなる?NOTTV。


個人的な意見ですが、今の番組内容、少し考え直した方がいいと思う。
もっと何と言うんか、とがったもの、サブカルチャー的なものをラインアップさせるとか。
ケータイの客をごっそりいただこう、みたいな従来のテレビ的手法だと、今あるものとバッティングして広がりが作れないのではないか。
何が何でも加入したいと思えるものでないと、ライバルには勝てないでしょう。


NTT関係者、頭のいい人もいるのだから、多分これから何らかのてこ入れをして、契約を増やしてだろうけど、頭の固いオッサンも多い業界だから、まだまだ時間かかるだろうな。
これがソフトバンクなら、とっくに500万超えているのではないだろうか。
もっとも、こんなビジネスに手を出すのは損だと、孫さんなら判断されるかもね。