カテゴリー : 2013年 7月18日

V-Lowマルチメディア放送とAMのFM化

昨日、総務省から「 V-Low マルチメディア放送及び放送ネットワークの強靭化に係る周波数の割当て・制度整備に関する基本的方針」が発表された。
V-Low帯の利用方針は、この間二転三転したが、ほぼ想定の範囲内の落とし所でオーソライズされそうである。
今回の方針を簡単にまとめるとほぼ次のようになるだろうか。


VHF帯の1~3CH、すなわち90~108MHzを3分割。
90~95MHzは、AMのFM化に利用(当面、中継局扱いのようだが)。余裕があればコミュニティFMにも割り当て。
95~99MHzはガードバンド的な予備帯として置いておく。ただし、マルチメディア放送用として使うこともありうる。
99~108MHzは各ブロックのマルチメディア放送用、9MHzを2分割し、隣接するブロックと混信しないよう全国に配置する。この場合、各ブロック4.5MHz、9セグメントが利用できることになる。
C詳しくはITProの記事も参照してほしい。)


さて、今回の裁定、大岡裁きに匹敵するようなものになっているのだろうか。
日本の役所に任せておくと、こうならざるを得ない結果というのが私の印象だ。
とにかく放送業界の2つの勢力、AM局とFM局のどちらの顔も立てるとなると、そうせざるをえない、でも本当にこんな電波割当は正しいのか、そう慨嘆している人も多そうだ。
電波の有効利用という考え方が、どうしても二の次になった、それよりも既に走りはじめている両勢力の動きにどう電波をあてはめるかが優先されてしまったと言える。
放送人は、大体こうなるだろうとわかっていた、だから、そのあたりの駆引きをこの間続けながら、とにかく利権だけは確保できそうだ、ま、仕方ないだろうという精神状態にあるのではないだろうか。


とはいえ、これは単なるスタートにすぎない。
電波割当が決まりそうだとはいえ、それをどう使うか、そこに絶対的なビジネスモデルがあるわけではない。
AMをFM化したところで、新しい需要が生まれるわけではない。
具体的なユーザーのニーズについては、誰もグランドデザインを描けていない、多分こうだろうとツギハギ作業を続けているだけである。
新しく、参入しようとしている企業もあるが、多分疑心暗鬼な面を今も捨てきれていないはず。
「でさ、実際にそうしたら、どんな得があるの、我々に。」
それへの具体的な答、ありますか?
大丈夫です、やれば何とかなります、そんな放送局側の気分だけ伝わってくるようだが。


言い換えると、こうなる。
大丈夫です、皆さんに使い方を教えますから、その答えを皆さん方が持ってきてください。
皆で考えれば、マルチメディア放送は絶対に成功します。
お金もそんなにはかかりません、プランを考えるのは皆さんです。
私たちは、蓄積された放送のノーハウで皆さんを手伝います。
電波の利用価値は無限大です。
ぜひ、マルチメディア放送の世界にご参加ください。


放送のハードとソフトは用意してあるから、コンテンツを持ってこい、使用料をそえて。
そんなビジネスモデルに見えかねない、でもそれじゃ続かないだろう。
サービスを始めれば、はじけるように利益がほとばしる、そんな絵を描けるのだろうか。
多分、マルチメディア放送を使って、新しいビジネスモデルを開発する優秀な人たちがどここからやってきる可能性はなくはない。
しかし、今の放送業界の中から、そんな人が出てくるとはとても思えない。
モバホの失敗、CS-PCM放送の失敗、BSラジオの失敗、ついでにセントギガの失敗。
そして、V-highを使った「NOTTV」の停滞。
失敗から、何を放送業界は教訓化しただろうか。
ラジオそのものは、今や下方スパイラルから抜け出せない。
目先を変えるだけでは、ニーズの波は生まれない。
何かあるはずでは未来は開けない。

本当、何かあると思っているのだろうか、業界の皆さんは。