カテゴリー : 2013年 11月23日

V-Lowマルチメディア放送って、本当に普及するのだろうか(2)

さて、前々回に紹介したITproの「V-Lowマルチメディア放送が切り開く、全く新しい放送サービスとライフスタイルイノベーション(後編)」が11/22付で掲載された。
早速、ざっと読んでみたのだが、予想通りそこには目新しいことはほとんど何も書かれていなかった。
思うのだが、放送業界って、どうしてこんなに的外れな話しか記事にならないのだろう。
いえ、そこに書いてあることが間違いだとは思わない、それも事実なのは確かだ。
だが、その話をする前に、もっとしないといけない話はないのか、と思ってしまう。


防災無線がどうの、地域の情報網がどうのこうのという話はもちろん大事だが、その唯一のソリューションがV-Lowマルチメディア放送というのはどうなんだろう。
それが重要なら、他にもソリューションあるだろう、第一、防災無線の位置づけは今後どうなるのだと言いたくなる。
私は災害時の放送には、マルチメディア放送が最適とは少しも思わない。
理由は簡単だ。
マルチメディア放送端末が、今のラジオ以上に便利になるはずがないと考えるからだ。
アナログラジオほど、災害時に有用なものはないと私は信じている。
AM放送だったら、ゲルマニウムラジオでも簡単に聞くことができる。
しかも電気をあまり消費しない、1本の乾電池で1ヶ月以上は持つ。
マルチメディア放送端末がそんな簡単な構造であるはずもないし、また電池だって1週間持つことも怪しいのではないか。
全然簡便じゃない、それをもろ手を挙げて支持する気には私はならない。
それなら、普通のテレビ放送で十分ではないか、インターネットで十分ではないか、何故にマルチメディア放送なのだ、と。


この間、V-Low周波数帯は、マルチメディア放送ありきで進みすぎていた、今さら後ろへは戻れない、そう思っている人たちがこの流れを必死で作り出そうとしているのではないか。
だいたい、この周波数帯にデジタルラジオを持ってくるという発想は、イギリスの事業的成功を基にしたのではなかったか。
今や、イギリスではラジオはデジタル化され、それが活況を読んでいる、それを日本にも適用しようとしたのではなかったか。
それが、何だかわけのわからないままに終息したDRP(デジタルラジオ推進協会)を生み、これまた何ともいいようのない3セグデジタル放送を生んだのではなかったか。
これらは、お世辞にも成功したとはいえない試みだった。
一体、どれぐらいの金をかけたのか、そんな金があるなら、もっと他にやることがあったのではないか。


ラジオって、そんなことを近年繰り返している。
私がいたミュージックバードを筆頭としたPCM放送、BSラジオ、そしてデジタルラジオ放送、どれも死屍累々である。
ついでに言えばセントギガもそうだったし、モバホ!も同じ経路をたどった。
ITproがモバホ!の終了を語る時にこう書いていた。

どんなに先進的なサービスを開発しても、商品プランや品ぞろえが充実していなければ、消費者の認知は得られない。

そう先進的なサービスは重要だ。
だがそれを消費者に刺さるための方法論が、今までのラジオ業界にはない!
一体、放送局も、それを後押しする広告代理店も、関連大企業も何を思ってこんなビジネスを展開してきたのだろう。
放送に対して、何故か国も自治体も企業も甘すぎるのではないか。


成功するかどうかわからない放送事業に、何故にこれぐらいのたよりない根拠で予算をばらまけるのか。
消費者の認知を得ることに、どうしてかくも楽観的立場をとれるのか。
私には疑問だらけのことなのだが、それが放送業界なのである、ラジオの現実なのである。


ということでV-Lowマルチメディア放送について、また愚痴のようなものを書いてしまった。
次回は、もう少し建設的なことに時間を費やしたいと心から思っている。