NOTTV~V-high放送のエトセトラ

V-Lowマルチメディア放送って、本当に普及するのだろうかと問題提起をした私だが、今回はそのための参考になるかもしれないV-highを使った携帯向け放送、NOTTVに少し触れてみたい。


初めてこの欄でNOTTVを紹介したのは、2012-4-12の「モバキャス NOTTVに一言」だった。
そこで私が下した結論は、NOTTVは古いイメージしか与えない、イノベーションは感じられないし、そこからの発展性も見えてこないということだった。
2012-6-15の「radiko ~破壊的イノベーション」では、橘川幸夫さんのコラムを紹介し、このままではNOTTVは行き詰るのではないかという危惧を書いた。
橘川氏の言葉をもう一度再掲する。

しかし、AKB48とプロ野球を番組編成の中心に置いてしまうような旧式テレビ業界の発想は、いくら資金を投入しても解決できる問題ではない。根本的なところで「テレビとは何か」「インターネットとは何か」「インターネット時代のテレビとは何か」という問いかけからスタートしない限り、旧来のメディアの二番煎じか、予備軍にしかならない。

つまり、ここには新しいメディアと呼べるものは何も提示されていないということだ。
技術的には新しいサービスを開発したのだろうが、中味が伴わなければニーズは生まれないのは自明のはずだ。
それを何故か業界人は自覚しない。
同じ失敗を繰り返し、それでも同じ方法論に突き進む。
前回書いた「どんなに先進的なサービスを開発しても、商品プランや品ぞろえが充実していなければ、消費者の認知は得られない。」をもう一度、心に植え付けてほしいものだ。


さて、NOTTVについて、そうは書いてきたものの、実際私はこのNOTTVのサービスをほとんど経験していない。
というか、今のところNTTドコモのスマートフォンしか受信できないので、ユーザーではない私はコンテンツを評価する立場にはいない。
私の周りにも、契約している人がいないので、今も具体的に動画をみたりすることはない。
そういうことで、中味云々の話は無責任になるので、これぐらいでやめる。
その代わり、今のNOTTVの状況を資料とともに紹介しておこう。


まず、今の経営状況である。
こちらのサイトに今年3月期の決算報告が載っている。
結果は216億の赤字である。
サイトでは、「売上高:11.44億円、営業損失216.41億円、当期純損失215.89億円となった。2013年6月に契約者数が100万人を突破したが、月420円の会費を払っているのは、約23万人と想定される。」とあるが、会費支払い者23万人は間違い。
契約者は漸増していくわけだから、1年間で平均すれば23万にかもしれないが、3月段階ではもっと多くなっているはず。ま、それは余計なお世話かもしれないが。


しかし、赤字216億は凄い数字だ。
減価償却分もこれからずっと続いて行くわけだから、資本金(準備金含む)500億あっても、あと2年以内に単年度黒字化させないと当然ながら債務超過に陥りかねない。
黒字化させるには、500万人の契約者が必要だと喧伝されていた。
では、その契約者、今は何万人なのだろうか。


それは、NOTTVのサイトにお知らせとして発表されている。
まとめてみると次のようになる。

2013年5月  998,925人
   6月 1,221,344人
   7月 1,351,945人
   8月 1,489,263人
   9月 1,476,716人
   10月 1,480,301人

確かに、6月に100万人を超え、これからどんどん増えて行くのかと予感させたが、結局150万人を超えないまま頭打ち状態だ。
その原因は何かというと、皆さんも何とかなくお分かりだと思うが、今年の9月から他社への対抗のため、iPhoneを販売しはじめたからだ。
iPhoneには、NOTTVのサービスがないのである。
ドコモはiPhoneを売れば売るほど、NOTTVの契約者は増えない、下手をするとアンドロイド系スマートフォンから引越してくるドコモユーザーが出てきて、ますます停滞することになりかねないのだ。
もはやドコモはアンビバレンツな状況、NOTTVの契約者を増やしたいと思っても、iPhoneの販売に力を入れないといけないので、どうしようもないのである。


同業他社が、NOTTVのサービスを自分のスマートフォンに入れてくれることは期待できない。
トップ企業としてのプライドがあるから、auやソフトバンクに頭を下げにいくこともないだろうし。
さて、NOTTVの運命や如何になのだが、このままV-highが衰退することになると、いくらブロック別のV-Lowマルチメディア放送でも、影響を受けないわけにはいかないだろう。
どうするV-high、大丈夫かV-Low。
国土強靭化の予算は確保したようだが、「どんなに先進的なサービスを開発しても、商品プランや品ぞろえが充実していなければ、消費者の認知は得られない。」状態では、なかなか未来は開けまい。
ということで、少し寄り道をしてV-highの話を書いた。
次回は、またV-Lowの話に戻ってくる予定。


<PS>
来年3月末の売上予想は平均契約者120万人と考えて、60億程度。今年より50億程度増えるが、赤字額は150億前後になる計算になる。
制作費のカットぐらいでは、もちろん済まない額である。




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