V-Lowマルチメディア放送の本気度~夢はどこにある?

さて、またしばらくご無沙汰してしまった。
この間、色んな人と会ったり、V-Lowマルチメディア放送用の端末なるもの(スマートフォン他)を見せてもらったり、具体的なシステムを発注された方からレクチャー受けたりしていた。
で、V-Lowマルチメディア放送は成功するかと聞かれたら、正直、ウ~、わからん!である。


総務省は、まあ本気なんだろう。
ちょうどいいところに、復興予算というか、国土強靭か予算というのが組まれて、それに当てはまるようにプランを修正して、何とか国の政策へと格上げできたようだし。
また、TFM-電通の関係からか、経産省もスキームに絡んできたようだし(radikoと同じ構造?)、そこにNTTドコモも加わって、なかなかの陣容が整ってきたように見える。
安心安全端末(wi-fiルータみたいなもの)とやらも、聞けば100万台作って無料配布するらしいし、自動車のカーナビのオプションにも加えられるらしいし、福岡では来年夏には本格的サービスがはじまるらしいし。


何か、先ほどから、ようだとか、らしいとしか書いていないのが自分でも気になるが、まあ何とかFM東京が構想していた形ができてきたのは確かなのだろう。
各地のマルチメディア放送会社はOK、電波の割り当てはOK、資本参加する大企業もほぼ確保、サービスを提供したいという会社も思惑通り。
技術的にも大丈夫、端末も少し危なっかしいが、最低限は用意できるはず。
送信アンテナの問題も、まだまだ紆余曲折はあるだろうが、基本的な部分はOKという声も聞く。
ただし、メーカーがどこまで本気で受信端末を売り出すかは何とも言えないが。
残念なのは、iPhoneにチューナーを搭載するのは難しいということ、日本だけに特別にという発想はないよなあ、アップルは。
それで、Wi-Fiチューナー型受信機を作り、無線LANなどのアクセスポイントにも使ってもらえるようにし、アプリを使って利用してもらえるようにするらしい。
とにかく、電波を使った放送は、端末命だ。
それが、どういう風に用意され、どれぐらい普及するのか、従来のPCM放送、モバホ!の失敗にどれだけ学んでいるかが問われることになりそうだ。
(NOTTVも、結局それを受ける端末が限定されることで躓いているというのも事実だろうし。)


さて、何かいまいちよく把握できないまま、V-Lowマルチメディア放送がスタートするような気配だが、ITを中心とする業界人にはあまり好意的には思われていないようだ。
あのi-modeを開発したといわれる夏野剛さんは、11/15のツイッターで次のように語っている。

ネット放送が当たり前の時代に時代錯誤する官僚と業… V-Lowマルチメディア放送が切り開く、全く新しい放送サービスとライフスタイルイノベーション(前編)(通信・放送融合型新サービス・ウォッチング)

下手をすると時代錯誤ですよ、官僚の皆さん、放送業界の皆さんと警告しているのかもしれない。
確かに、取り上げられているサービスは、ほとんどインターネットで代替可能なものが多い。
ユーザーが一斉に同じサービスを受けられる、車で受信可能という側面は評価すべきだろうが、さて、それだけでユーザーのニーズは生まれるだろうか。
それぐらいなら、要らない、今のネットで十分とユーザーに言われたら終わりである。
ワンアンドオンリーなメディアとして認識されるには、何があるか。
「どんなに先進的なサービスを開発しても、商品プランや品ぞろえが充実していなければ、消費者の認知は得られない」という問題をどう解消するか。
何かのオルタナティブとして重要、絶対に必要という認識が生まれれば(例えば災害発生時や防災のためのメディアとして)浮かぶ瀬もあるだろうが、さて、何かアピールするものがあるのだろうか。


もう一つ、別のマルチメディア放送に関する記事を紹介しておく。
ダイヤモンド・オンライン11/7の~アナログTV放送の“空き地”を活用する「マルチメディア放送」は何処を目指すのか~ がそれだ。
通信・放送セクターのコンサルタントというクロサカタツヤ氏の論考である。
全文を読むには登録しないといけないので、一応ご了解いただきたいが、その中で、クロサカ氏はこう書く。

たとえば、マルチメディア放送は「ビジネス」を前提として事業モデルやエコシステムの構築を行っていることに、そもそも矛盾や限界があるように思える。市場性の観点からすれば、すでにモバイルブロードバンドとスマートフォンにかなうはずもないし、また特殊なチューナーが必要なシステムが競争力を持つとも思えない。
 むしろはっきりと、公共目的であることを打ち出して、地域ごとのローカルメディアの構築・運営を促進するプラットフォームとして位置づけた方が、いいのではないか。

で、結論はこれである。

現状のように先が見えない状況においては、闇雲に事業化を進めるよりも、マルチメディア放送のあり方について、単に事業化を前提としない、より多様な検討こそが、地域社会の発展につながるはずだ。
 あるいはそうした議論が行えないのだとしたら、むしろ最初へ立ち返ってV-LowとV-Highという周波数の使い方も含めて、議論をやりなおすべきだろう。電波という国民全体の資源が枯渇する中、その活用というならば、そうした厳しさを持って、あたるべきではないか。

お説ごもっともである。
事業的に成功できるかどうかわからないまま突っ込んでいく方式は、今までさんざん失敗してきたことではないかという指摘は私も同意見だ。
とにかく、このV-Lowマルチメディア放送プロジェクトに参画している皆さんは、どこまで本気なんだろうと心から思う。
事業として成功するかどうか以前に、このサービス、本当にユーザーがほしがっているの?金を出してまで、そのサービスを買ってくれるのかという視点からも考えたほうがいいと思うのだ。
商業放送は、今までスポンサーありき、代理店ありきでビジネスを考えてきた。
だから、ユーザーのニーズまでは深く考えてこなかった、とにかくスポンサーがつけば、代理店が何とかしてくれれば、そのサービスは何とかなったのだ、それが放送というビジネスなのだった。
でも、そのスキームは、ここで本当に使えるのか?
一体、それに変わるビジネスモデルを放送業界の人間は持っているのか、日々着々と建築物は立っていくが、その中に入るのは何?それを利用する人は誰?
この道は、いつか来た道~♪




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