ラジオ局の決算情報

又々、久しぶりのブログ更新。
期待していただいている方も、大勢おられると思います、まことに申し訳ないです。
しばらく、言い訳を書き連ねたい気分もあるのですが、読まされる方には迷惑だと思うので、興味のある方は個人的にメールでもください。


さて、今回は出そろったラジオ局の決算情報をまとめてみたいと思います。
放送局の方から、直接情報をいただいたりもしているのですが、一応業界紙の情報を元にこの1年間のラジオ局の動きをフォローしてみたいと思います。
まずは、私の出身局、FMOから。
連合通信によれば以下の通り。

当期の売上高は22億82百万円(前期比101・8%)、営業利益4百万円(27・8%)、経常利益15百万円(54・0%)、当期純利益14百万円(54・4%)となった。

名目上の売上は上がっていますが、利益率は相当減っています。
何とか黒字決算を作ったという印象でしょうか。
上がる材料はほとんどありませんから、この1年も苦戦が続くでしょうね。


次にFM802の数字です。

当期の営業収益は30億57百万円(前期比90・4%)、営業損失83百万円、経常損失73百万円、当期純損失1億28百万円となった。

売上で3億余り減っています。
FMcocoloを吸収した結果これでは、経営陣も頭が痛いことでしょう。
キャッシュフローが最低でも20億以上あるはずと勝手に推測しておりますので、しばらくは問題はないでしょうが、ラジオ業界の今後の展開が見えにくい現状では、打開策もなかなか考えられないかもしれませんね。


ちなみに、OBCの数字もあったので、ご紹介。

当期の営業収益は19億48百万円(前期比2・2%減)、営業利益19百万円(55・3%減)、経常利益22百万円(45・9%減)、当期純利益10百万円(45・9%減)となった。

う~ん、どうなんでしょう、辛うじて黒字決算を作ったという印象もありますねえ。
radiko関連を意識した番組編成もあまり考えておられないようなので、しばらくはボチボチうまくリスクを回避しながら経営を続けられるのだろうなと拝察いたします。
産経新聞がバックアップするといっても、限度があるでしょうし。


さて、大阪ローカルのラジオ単営局の数字をとりあげましたが、東京のラジオ局はどうでしょうか。
まずは、民放FMの雄、TOKYO FMから。

当期の個別の経営成績は、売上高149億64百万円(前期比2・7%増)、営業利益11億43百万円(6・6%増)、経常利益12億36百万円(2・2%増)、当期純利益7億24百万円(3・4%増)となった。

きわめて安定的な決算数字ですね。
いつも感心するのは、TFMの商売のやり方です。
とにかく新しい事業に取り組む時、TFMは自分たちの出費をなるだけ最小限にして、他から調達してくるのが抜群にうまいのです。
JFNというネットワークを構築するに際しても、金銭的に系列局をフルに利用していましたし、ミュージックバードもNECやトヨタ他からの支援を受け、デジタルラジオの時はKDDIに制作費のほとんどを出していただいたりという風に。
そして、今全国にV-Lowマルチメディア放送を展開するにあたっても、多くの企業から資本参加してもらったり、事業に協力してもらったりしています。
結局、演出力があるのです、自分たちがどれだけ時代を動かしているか、そのアピールが本当にうまい。
そして、その事業が例えうまく行かなくとも、その被害は最小限にとどめ、TFM自体を不安定にはさせない、その結果が、こんなラジオ不遇の時代にあっても、好決算の数字をはじき出すことができるということなのでしょう。
この局の目下の課題は、V-Lowマルチメディア放送ですが、さて果たして国から認可が下りるかどうか。
AM局も色々動いておられるでしょうから、すんなりとは行かないみたいですね。


さて、J-WAVEです。ここは、ちょっと完全に壁にあたっているみたいですね。

当期の営業収益は46億36百万円(前期比102・1%)、営業損失2億14百万円、経常利益3億4百万円、当期純利益2億24百万円となった。

2012-12-8の「J‐WAVE12年度中間決算3期連続赤字~文化通信」というタイトルでブログにJ-WAVEの苦悩を書いていますが、基本的にはその延長上から逃れられていないようです。
聴取率的には、毎回そこそこの数字を出しているにもかかわらず、それが売上に結び付かない。
大阪のFM802と同じで、要は従来のビジネスモデルでは限界があるとしか思えないのですが。


あと、LFとQRをご紹介。

LF:当期の経営成績は、営業収益183億60百万円(前期比4・4%減)、営業利益1億47百万円(46・4%増)、経常利益62百万円(66・0%減)、当期純損失6億91百万円となった。

QR:当期の売上高は76億39百万円(前期比1・3%減)、営業損失5億49百万円、経常損失69百万円、当期純利益1億68百万円となった。

LFは持ち前の営業力で何とか持ちこたえているという印象、QRは今期何とか久しぶりに純利益を黒字にしたようですが、相変わらず、これでよく持っているな、というのが私の率直な感想ではあります。


本当に、ラジオ局、よくこれでもっていますね、総じて。
どこも、それなりの歴史があるので、簡単には倒れませんが、その足場は相当に揺さぶられています。
今日は長くなるので、そのあたりは又別の機会に。



ラジオの聴取習慣率

1ヶ月ぶりのブログ。
ラジオに関する話題、正直いってあまりない。
淡々とラジオの日常が過ぎ去っていく、そんな印象だ。


共同の配信に、ビデオリサーチが16日に発表したラジオの「聴取習慣率」についての記事があった。
ラジオを日常的に聴いている人の割合を示す「聴取習慣率」の都道府県別調査で、沖縄県がトップ、2位は岩手県、3位は山形県、以下長野、北海道、宮城、鹿児島と続くそうだ。(以下引用)

 調査は昨年10月、全国約2万8千人を対象に初めて実施。午前6時~午前0時の時間帯別に、ラジオを聴く習慣があるかどうかを尋ね、各時間帯の数値を平均して「ラジオ聴取習慣率」とした。
 トップの沖縄は聴取習慣率11.5%で、35~49歳の男性に愛好者が多かった。平日午前7時台に聴く習慣がある人の割合が21.3%と最も高く、同時間帯の全国平均より7.6ポイント高かった。
 東京都、大阪府など大都市圏では、聴取習慣率は低い傾向にあるが、埼玉県は9位に入った。

個人的な感想だが、多分普段車を使う人が多い地域はラジオの聴取習慣率が高いような気がする。
大阪や東京は、通勤に車を使うことは少ないので、自ずと数字が下がるのは仕方がない。
ラジオはわざわざ聴くメディア、大都会ではその傾向が強い。
お店や小さな事務所では、何となくラジオが流れていたりするが、学生や生徒がわざわざラジオを聴かないのは、そういう機会に恵まれないからだろう。


今は、スマホでラジオが簡単に聴かれるようになった。(もちろん、radikoのおかげ、これでわざわざ聴く必要はなくなった。)
だから、ラジオはこの機会を逃さず、スマフォを使った聴取習慣を作る努力をするべきだ。
だが、何度も言うが、ラジオ業界はほとんど何もやっていない。
広告代理店が、聴取習慣を作ってくれる、色んなプロパガンダを通じて、そう願っているのだろうか。
どこでもラジオが生まれたのに、それをちゃんとPRしないラジオ、今までのマーケティングと矛盾するので二の足を踏むという.ことなのかもしれない。
どれだけ聴かれているか、具体的な数字がコンスタントに提示できるのに、それを忌避するラジオ。
ガチンコ勝負は避けたい、今までの八百長的商売がいい、言葉は悪いが、その印象もぬぐえない。


何故、そんなにおのれのメディア価値が明示されるのを嫌うのだろう。
前にも書いた、私のかつての営業部長が言ったセリフ。
「聴取率調査は、商売のためにするのだ。真実を知るためにするわけではない。」
良い数字なら外に出すが、悪い数字は一切出さない。
大きな広告代理店は、放送局の実施する調査とは別に、独自の調査も実施している。
スペシャル・ウィークなどとは全く関係ない時期に、本当の数字を得ようとして。
そして、今ではradikoを使った、分単位でのリスナーの増減が読める。
何が効果があり、何が全くリスナーに刺さっていないか、彼らはお見通しのはず。
広告代理店がラジオに興味を示さなくなったということに、一つの答えが出ているのではあるまいか。


本当に、うちの局、反応ないんだよねえ。
レスポンス広告も、情けない数字しか出ない、どうしたらいいのかね。
そんな声もあちらこちらから聞こえてくる。
なら、レスポンス広告はやめよう、反応がないのが明らかになるのはヤバいから、なんて話も聞いたりする。
radiko、何のために導入しているの、何のために毎月ウン十万の金を払っているの?
本当の数字で勝負できるように、その活発な活用を働かなければ、ラジオに未来はないでしょ、繰り返しになるけど。


でもねえ、言っても言っても、何にも返ってこないんだよね、マルチメディア放送も、根本的な部分でマーケティングがなされていないし。
結局、ラジオは今も日常の中に埋没しているのだろう。
キラっとした芽がそこに生まれているのに、目をそむける連中の何と多いことだろうか。



ラジオは消費税に耐えられるか(その2)

radikoプレミアム、ネット上では色々と議論されているようだが、肝心な局内外ではほとんど情報が発信されていない。
オーソライズされていることが少ないのだろう。
大体、私の出身の放送局(FM851)は、具体的な情報をほとんどサイトに掲載していない。
いわゆる様子見の放送局の一つ、TOKYOFMがど真ん中に「エリアフリー通信開始!」とニュースを上げているのに、その事実すら見当たらないのは情けない限りである。


さて、radikoを使ってどんなマーケティング戦略を打ち出すのか、大いに期待したいところだが、何か問題ありありのようで今後どうなるか見えてこないようだ。
具体的に数字(売上)となって、目にみえるようにならないと何もできないのがラジオ局の本音なのかもしれない。
代理店さん何とかしてください、なのだろうな、相変わらず。


さて、消費税が8%になって半月が過ぎた。
消費税導入による影響は軽微というプロパガンダもどきの情報がニュースサイトで流されているが、個人的にはどうもそんな気がしない。
4~6月はある程度落ち込むが、7~9月は元へ戻るという楽観論には少し考えさせられてしまう。
その根拠は何なのだろう。
確かに公共投資などを通じて国から資金がばらまかれ、それが各人の収入を増やし、少々の出費増は吸収できるというのだろうが、一体その各人の収入増はいつやってくるのだろう。
それが見えなければ、支出を安易に増やそうという気になるはずもない。
マインドセットとして、デフレ仕様になっている国民の気分を、どうやってインフレ仕様に変えることができのだろう。
デフレのマインドセットは強固である。
よほどの収入増がなければ、その壁は崩れない。
景気が上向いているという観測は企業側から出ているが、それが何故消費者側から現れない。
単純に還元されていないだけなのか、それとも企業の売上増はそのまま国外に流れて行ってしまっているのか。
消費が活発にならなければ、広告費も増えない。
広告費が増えなければ、その末端にあるラジオにも恩恵は行かない。
ざっと見るに、ラジオの業績、少しもよくなったようには思えないが、何か新しい芽生えのようなものがあるのだろうか。


私はタイトルに「ラジオは消費税に耐えられるか」と書いた。
消費税を払えないという意味ではない、消費税アップによって売上はさらに減るのではないかという危惧があるからだ。
広告主の立場に立てばわかりやすい。
例えば、ある商品の広告費に今まで10.5億使っていたとする。
これが4月から、10.8億円になるのだ。
例えば、会社の経営会議で、これから広告宣伝費は10.5億が10.8億になりますのでよろしくと宣伝担当役員は言えるだろうか。
自動的に3%弱予算が増えますなどと、しれっと言えるものだろうか。
考えても見よう、人件費のアップにちゃんと3%弱のアップ分を含んでいるだろうか。
5%から8%に上がることに文句が言えないものは、そのまま受け入れるだろうが、相手次第で何とでもなるものにはそのまま3%弱のアップ分を反映させるわけはないのだ。
大企業でさえ、今年の春闘の賃上げアップは定昇も含めて2%そこそこだと聞く。
つまり、給料のアップ分は8%の消費税に耐えられない、そう考えるのが普通だろう。
当然、実質的な消費減にならざるをえない、もちろん、持っている貯金を使え、老人がためこんでいる金を優遇制度を利用して、じゃんじゃん使えという考え方もあるだろうから一概には言えないが。


話がそれた、企業の広告費の話だ。
企業は、不必要な金を使うことに慎重、それが今の時代だ。
本当にバブル以前の、何かよくわからない金が、適当な名目で支出されていた時代とは違うのだ。
その時代に、ラジオに広告費を使う理由がどこにあるだろう。
3月まで支払っていた額を、消費税が8%になるからと言って、その分を増やしてラジオ局に払うなんてことを簡単に決めるだろうか。
何しろ、大企業となると、広告費をとりまとめるのは広告代理店だ。
必要なものには、当然消費税も含めてアップした額を支払うが、つきあいで出している広告とか、なりゆきで続いているラジオ番組とかに、さらに消費税をアップさせて支払ってくれたりするだろうか。
いい機会だ、3月で終了、なんて事例、どれほどラジオの世界にあったことだろう。


とにかくラジオにサプライズがなさすぎるのだ。
radikoをイノベーションの材料にする雰囲気はあまり感じられないし、V-Lowマルチメディア放送もその魅力を語ることができていない。
はるかに消費税8%のイメージが勝っている。
わざわざラジオに広告費を出そうとされているクライアントのために、ラジオは何ができるのか、それをもう一度認識しなおす必要があると思うのだが。

ラジオは消費税アップに耐えられるのか、気になって仕方がないことの一つだ。