私はいかにしてプロデューサーになったのか(第8回)

東京に戻り、早速クライアント提出用の正式な企画書にとりかかった私。
まずは表紙から。


■企画書(案) オールナイトライブ生放送 by TOSHIBA


タイトルはとりあえず(仮題)と表記し、クライアント(or広告代理店)の意向を斟酌して最終決定する意思を表示。
当たり前ですが、こちらでガチガチに企画を固めて提出すると採用率は落ちます。
次に、放送時間など。
これも予定という形で、12月31日深夜25時~1月1日朝6時と表記。
スタートを1月1日1時とすると、オールナイトライブのイメージが弱くなるので、前日から朝迄という表現にします。
予定とするのは、企画書段階では本社の編成の許可が取れていないからです。
1時からというのも、東京からのネットが多分1時まであるだろうと予測されるためです。
企画を考えるにしても、色々と編成的な情報を知っていないといけません。
特に大阪本社編成部は何故か支社の私には編成情報を伝えてくれません。
つまり、ほったらかし。
こちらから問合せしない限り、何も編成的材料を持てないのが普通でした。(今もあまり変わらないみたいですが)


■出演者:伊藤銀次(FM大阪スタジオ) ライブバンド:ワールド記念ホール出演バンド


次に出演者、伊藤銀次さんと同じ事務所の夏木晴美さん。(その時は知らなかったけど、彼女、加茂晴美→南里沙→夏木晴美と名前を変えていたみたいです。デビューはアニメ歌手だったとか)
後は、ワールド記念ホールの出演バンドを適当に列記。
企画書に書いた名前は、もはや資料が手元にないため、今の段階ではわからず。
国会図書館にあるはずのFM雑誌関西版で確認すれば多分わかると思うので、また追加します。
(大阪で探してもないんですよね。まんだらけに行った方があるかもしれない。)
とにかく、今をときめく(まだ、そこまで話題になってはいなかったけど)イカ天の審査員、毎週全国ネットでテレビに出ている銀次さんが生放送でスタジオにいるのだから文句あるまいという気分でしたね。


■企画の中味は適当に


とはいえ、全国ネットといっても、肝心の大阪ではネット局のMBSが受けていないので、本当はイカ天と言っても、大阪では通用しません。
後で、本社から「そんなもの関西人には関係ない」と嫌味を言われたものですが、私としては東京のクライアントが納得すればそれでいいので、関西でネットしていようがいまいが、使えるものはすべて使うという気持ちでした。
関西人の東京嫌いは私も理解できますが、金になるなら何でもするというのも又関西人気質ではないでしょうかね。
企画書の中味、それはもう適当としかいいようがありません。
何しろ、鹿児島まで行って、収録の許可を取ってきただけです。
中味なんか考えるどころではない。
でも、とにかく代理店に早く提出し、早くGoサインをもらわないと何もできません。(本社に対しても、クライアントの名前を出して、売れたのだから四の五の言わずに従えという態度で接しないと前へ進みませんから。)
ま、このあたりの考え、東京支社に特有の考えで、大阪本社が理屈ばかり言って反対するから、とにかく売ってしまって、その結果を押しつける方が合理的ということだったと思います。
最近は、大阪も東京も理屈なんかどうでもいい、とにかく金を稼げというスタンスのようですが。
(それだけラジオって、簡単には売れなくなりましたからね。)


■提出、そしてGOサイン


ということで、次の日、早速赤ら顔お腹ユサユサの営業マンH君に企画書を渡しました。
彼は、既に電通に私が電話で入れた内容を説明しており、いいんじゃないですか、それで行きましょうという感触を得ていたようでした。
場所も、バンドスタンド並み(大阪城ホール)のワールド記念ホールですし、生中継ではないものの、そんなの雰囲気ものだから別にかまわない、生放送と言えばイメージは同じだという印象を持ったようでした。
「制作費、100万ぐらいでいいですか。マージンとか局の取り分もありますから、NETで80万ぐらいは使えます。大丈夫?」
電波料は200万ぐらいだったでしょうか
まあまあ、彼としてはいい営業物件だったろうと思います。
私の方は、一体どれぐらい金が必要か見当がつかないというのが本音ですが、とにかく上限は決まりました。
これから番組スタッフの選定に早速入ることになりました。


私はいかにしてプロデューサーになったのか(第7回)

鹿児島林田ホテルでお会いしたハンズのO氏、私の話を面白がってくれた後、大みそかに神戸のワールド記念ホールで行われるオールナイトライブの説明をしてくれました。

■サンテレビで中継が決定

「出演バンドは、○○とか××とか、まあまあ知られているバンド10組ぐらいが決まっています。一応有料だし、5000人ぐらいは集客できないとかっこ付かないので、それぐらいは何とかなるメンバーを揃えています。スポンサーの招待枠もあるので、満杯は無理でしょうが、そこそこ盛り上がるはずですよ。」
「なるほど、で、少し問題があるという中継権の件は?」
私は、一番聞きたい回答を催促しました。
「このイベント、昨年からやっているんですが、実はサンテレビで中継しているんです。全部中継というわけでもないのですが、とりあえずTV優先ということなので、今からFMで中継というのはハードルが高いかなと思います。微妙にエリアが違うので、とりあえず話をしてみますが、どうでしょうね。」
どうも、中継権を今から許可してもらうのは難しいというのがO氏の考えのようです。

■生中継じゃなくて、収録という形にしたら?


「何かいい方法はないですか?」
「そうですね、中継じゃなくて収録ということで、後ほどそれをON AIRするという風に説明するのはありかもしれませんね。中継しなければ、別に文句は出ないかも。前日の夜から次の日の朝までずっとライブをやっているんですから、時差をつけて放送する、出演バンドもFMで流れると言えば、喜んでくれると思うし、それで調整してみましょうか。」
中継はだめだが収録は可。
それをすぐに流すのではなく、少し時間を置けばTV局側も説得できるだろうというのがO氏の見通しのようでした。
「収録して、その音を大阪の局に送って時差で流すのは可能ということですね。現場の音を中継車を出してFPU(マイクロ回線)で飛ばすこともありですが、単純に現場でテープ収録して、収録済みテープを人を使って少しずつ運ぶ方が手間がかからなくていいかもしれませんね。」
「ま、それは任せます。とにかくサンテレビのOKはとっておきますよ。権利料とか色々発生すると思いますが、それは大塩さんに後ほど電話しますから、そちらで対応してください。」
「わかりました、よろしくお願いします。」

■ライブはOK、後は企画書を書くだけ


というわけで、私たちの鹿児島行きは何とか成果を見ることになりました。
中継はできなくとも、それに近いことはできる。
大晦日オールナイトライブを生放送という打ち出し方も、伊藤銀次氏にスタジオにいてもらって、今年のバンドブーム(彼はイカ天の審査員なので、最先端の情報も流せる)を語りながら、ロックバンドの生音を聞いてもらえるわけだから、文句は言われまい。
企画書には、そのあたり、うまくぼかしながら生放送と歌っておけば、見る人は勝手に生中継だと錯覚してくれるだろう。
ま、これはこれでいいんじゃまいか。

■そして羽田へ

私と大塩さんは、しばらくO氏と、今回のシング・ライク・トーキングのツアーの模様を興味深く聞かせてもらい、大いに楽しませてもらった後、午後の飛行機で東京へ戻りました。
早く企画書を作りなおし、電通担当のH君に渡さなくては。
ここまで段取りをしたのに、結局企画が通らなかったのでは、何をしているのかわかりません。
とにかく、形は作った。
ボールはもはやH君の手にある、私の仕事はとりあえず終わりだ、とにかくそういうところまで今日明日中に処理したい。
私はそう思いながら、大塩さんと今後の段取りを少し確認した後、羽田までずっと機内で眠り続けたのでした。

紅白から暴力団と関係する歌手排除?

今日のサンケイスポーツの記事だそうである。

NHKは6日、大みそかの「第62回紅白歌合戦」(後7・15~11・45)の出場歌手選定にあたり、今月から全国で施行された暴力団排除条例を重要視する姿勢を明確にした。松本正之会長(67)が定例会見で「条例を踏まえ、より注意しながら選考する」と発言。さらに、暴力団との関係が判明した場合は「(出場を)解除する」と強い姿勢で臨むことを明言した。(サンケイスポーツ)

そうですか、へえ~という感想。
本当にやれば、業界は上へ下への大騒ぎでは。
紅白の出場歌手選考は、NHKが勝手にできることではなかったと言われている。
いわゆる業界の意見が占める部分は大きく、NHkが解除するといっても、そのプロセスは簡単ではないようだ。
NHkの会長が言えば、現場が一糸乱れずその方針を遂行するという体制ってあるのだろうか。
(海老沢会長の時は、そんな雰囲気はあったようだが)
業界とその筋の人を分離させるためには、相当のリーダーシップが必要だ。
誰が猫に鈴をつけるのか?
マスコミも深くはこの問題には立ち入らない。
今年の紅白歌合戦の歌手選考、そろそろ動き始めているのだろうが、ちょっと興味深いことである。
■ラジオランキング23位
このブログ、予想通りというか、2位を最高にランキングがどんどん落ちていまして、今は23位のようです。
とはいえランキングのページに行くと、このブログの名前が表示されているので、これはこれで嬉しいことですね。
消えてしまえば、終わりですから。
シリーズ第7回は、今夜にでもアップ予定です。
よろしくお願いします。